商売道 伊吹流

 

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伊 吹 卓

 

成 功 理 論

(1) イメージギャップ理論
 

ご自分の声を録音して聞いてみたことがあるでしょうか? 自分で自分の声を聞いてみると「なんだかイヤな声だな。」「こんな声じゃないはずだ…」などと感じてしまうものです。それは「自分の身体の中に響いている、生まれてからずっと聞きなれた声」と、まるで違っているからです。
 ところが、他人がその録音した声を聞いたらまったく違和感がありません。いつもその人が話をしている声と、なんら変わらないからです。同じように、たとえばゴルフをされている人が、自分のフォームをビデオに録画して見てみると「なんとヘタくそなんだ…」と愕然とするものです。自分では、もっとカッコ良い…とイメージしていた。その自分のイメージと現実が、あまりにもかけ離れているからです。

これは商品開発でも、セールスの方法でも、まったく同じことがいえるのです。自分が作った商品には思い入れがあります。しかし、他人が見ると「なんだ…たいしたことないな…」と感じるのことに良く似ています。また、逆に「ここはパッとしないな…」と思っていたことでも、他人が見ると「これは素晴らしい」と、とんでもない評価を受ける…。しかし、自分はそこを評価して欲しいわけではないので少しガッカリする…。ガッカリすることは、さておいて…

何より大切なことは、評価するのは自分ではなく「開発した商品を買うお客さま」である…ということです。

恋愛でも同じです。あなたを評価するのは、あなたではなく「あなたを恋人にしようとする相手」である…ということです。

このイメージにギャップがある…この部分をいかに埋めていくのか? これこそが、うまくいくための極意であるといえるでしょう。なぜならば、これこそが「アサヒ・スーパードライ」を生み出した「極意中の極意」だからです。

 


 

「共通点」ではなく「共通項」という考え方。
 

売れている商品と、売れていない商品には絶対的な違いがあります。に売れていない商品には「売れない理由」があります。逆に、売れている商品には「売れない理由」が、ほとんどありません。実はこれが大きなポイントなのです。「売れる理由があれば売れる」と勘違いをされている人も多いようですが、そうではないのです。経済も社会も、商品も日々進化しています。それに伴ってニーズも進化しています。そして、世の中には「絶対的な満足できる商品」など、たったひとつもありません。今、その商品群の中で、一番「ましな商品」がヒット商品として売れている…。ただ、それだけの話なのです。

売れている商品をたくさん購入し、また、逆にまったく売れていない商品をたくさん購入して、実際に並べて比較してみると、その理由が一目瞭然となります。そこには「売れない理由」があります。逆に「売れない理由の反対側」に「売れる理由」があります。冒頭に述べました通り、日本人は相手に気づかいをして「本当のことを隠す民族」です。「私の作った商品をどう思いますか?」と聞いても、良いことしかいいません。しかし、自分の財布を開いていざ買うかどうか…となると、今は必要ない…などと、優しい言葉を並べて、実のところは買わない…。つまり「売れない理由」があると無言で伝えているのです。日本人は「察する民族」ともいわれています。そこで察することができない人は、どんな商品をどれだけ作っても、売れる商品などできるものではないのです。

さて、「売れる商品」でも「モテる人」でも「売れるセールスマン」でも良いのですが、ここでは一例として「デートをしてみたい人」を例にとって、恋愛がうまくいく人・うまくいかない人の条件を並べ、比較してみたいと思います。

図4
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あの人が…と「1人の人」に限定するのではなく、たとえばデートしたくない…と感じる相手100人、すべてに当てはまる条件を探していく。それを「共通項」と私たちは呼んでいます。先に「良い条件」を探そうとしても見つかりません。先に「悪い(右側の)条件」を探し、その逆の言葉を探して「良い(右の条件)」を探し出すと、このイメージギャップ表ができあがってきます。そこに、うまくいっている自分が目標とする人を「青」、自分の評価を「赤」で書き入れると、上のような表になります。こうやって「自分が改善するべき点」を見つけると、次に打つべき手がハッキリしてきます。

これを「売れているビール」と「売れていないビール」で比較し、具体的な対応策を作ったら打開策がハッキリと見えてきた。それがまさに「アサヒ・スーパードライ」の誕生の根幹になったわけです。問題は、自己評価をしたら「声の録音」と同じで、実際の自分の姿とズレがあるということ。この部分のズレをなくすために「苦情法」というものがあるのです。


苦  情  法 (次のページへ進む)

着  眼  法

 

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