伊 吹 卓
【 なぜ売れないのか。 】
念力……強く思うと必ず実現する。 念力は、すごいものなのである。
私は電通時代、サンスター歯磨を担当していたことがある。喜び勇んで、一生懸命、広告のアイデアを三案考え、提案するため訪問した。サンスターの営業部長は私の提案したものを一目見るなり、言い放った。「君が作ったこの広告で売れるのか!」 この広告は新聞にのる。日本中の一億人が見る。一億人がどのように思うのか見当もつかない。何とムチャクチャなことをいうのか。ケンカをしてやろうかと思ったが、がまんした。三年の失業を越えて、やっと電通の社員になったばかりだ。こんなことでケンカをして、クビになったらたまらない。ここは、がまんだ、しんぼうだ………私は一瞬のうちにそう考えて辛抱した。すると、第二弾が飛んできた。 「返事ができんのか。返事ができんのは売れない証拠だ。作り直してこい!」この時、血がカーッと昇った。しかし、耐えた。
それから大葛藤の数年がつづいた。そして、世の中には「売れるかどうか」を判断する「すべ」は存在していないことを確認した。
それでも、あきらめられなかった。
………そうか「売れるかどうか」ということは、世界中の人がわかっていないのか………
………ということは、それがわかったら、世界中の人が喜ぶではないか………
………もし、俺がそれをつかむことができたら世界中の人が喜ぶに違いない………
………ちょっと待て、世界中の人を喜ばせることができたら、それは神様みたいではないか!………
そのことを思い続けているうちに、私は心の中で叫んだ 【俺は、その神様になりたい!】
そのように思ったのは三十三歳の時である。私は狂ったように、そのことで走り始めた。
一心不乱であった。そして、スーパーマーケットに三年間通いつめているうちに
「売れるかどうか」が一目でわかるようになった。
それから十数年かけて「売れるかどうかの判断術」をまとめそれを二十数冊の本で書き上げた。
そして、さらに「うまくいく」「うまくいかない」という人間の行動に着目した。 気づいたら、そのテーマで八十数冊の本を書き上げていた。
(後略)
【 発売中の著書 】