
「察すること」を美徳とする国のビジネスアプローチ
実際のところ、マニュアル通りにやって成功しているのでしょうか?
もし、システム化・標準化・合理化が基本の欧米流のマーケティング理論が日本でも充分に活用できるならば、セールス(販売・営業・商品開発など)にも、その理論の代表的な「ツール」である「マニュアル」で充分に売上は確保できることになります。しかしながら、マニュアル通りにやっても成果があがっていない実情があります。結局のところ、マニュアル以上の実力者が、応用をきかせ、あえてマニュアルに書いてあることに似せて対応している。というのが現状ではないでしょうか?
日本人は「謙虚」を美徳とする民族です。たとえばセールスマンならば、お客様の気持を察することができる人ほど優秀な成績をあげています。逆に、お客様の気持や気分を察することができず、やみくもに「マニュアル通り」のプレゼンテーションなどをして業績を落としているセールスマンも数多くいるのです。これは営業や販売に限ったことではありません。
商品開発や、セールスプランの立案においても、全く同じことがいえるのです。いくらマニュアルが立派でも、十人十色のお客様の価値観があるわけですから、一本調子でプレゼンテーション的に押売りされてもお客様は納得されません。いいえ、押売りされればされただけ、そのセールスのしかたを嫌いになります。「人の気持がわかっていない」と怒り出すお客様さえ登場しかねないのです。
「マニュアル化」より「職人的人財の育成」
たとえば、セールスマンの場合。マニュアルでは対応しきれない千差万別な「察しの能力」が必要になってしまう。では、どうすれば「業績の上がるセールスマン」が育つのか? 日本のお客様の感受性の高さに対応できるセールスマンを育てるためには「察しの職人」といえるセールスマンを育てなければ、業績は上がらないわけです。なぜ、こんなことが起こってしまうのか?
それは欧米で自然科学が発達し、今やロケットで宇宙まで行けるほどのレベルまでに到達したのと同じように、日本では社会科学が発達したからであろうと言われています。これは自然環境に大きく影響されています。紀元前10世紀ごろより、不毛の地で自然を科学で克服しながら歴史を重ねてきた「人間主義・個人主義」の欧米。欧米の人間主義は象徴がギリシャ時代の人間をモチーフに現れているという学者も多いようです。それに比べ、紀元前10世紀の弥生時代より、自然に恵まれ「村社会」で「職人的な人たち」が「集団生活」を行ってきた日本は「自然主義・集団主義」であると比較されることも多いようです。
欧米が科学的なら、日本は職人的とも言える遺伝子が受け継がれていることになります。実際、職人的な感覚で自分の「腕」を磨き、活躍しているセールスマンが多い事実もあるのです。分かりやすくセールスに例えましたが、これは「商品開発」でも「企画」でも、全く同じことが言えるわけです。問題は、職人的に部下を育てさえすれば部下が自ら「職人的」に「お客様の心理」を研究し腕を磨き業績を上げるという事実がありながら、多くの企業がいまだに「マニュアル化」「標準化」を推進しながら、業績を下げているといった現実があることかもしれません。

HOME
Profile







