「売れてしまう理由」
1)「リアル」にトコトンこだわる
Chapter-7 情報化戦略
はじめに | |
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Chapter-7 | |
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まとめ |
「売れる会社は何が違うのか?」
情報化戦略
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- 「セールスのシステム化」は「なぜ売れないのか?」「どうしたら売れるのか?」「それで売れるのか?」という疑問のすべてに答えるためのものです。
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- この三つの質問は、まさに「セールスの システム化」のための課題です。また反対に、この問いに答えられない理論ならば、いくら立派そうに見えても何の役にも立たないことを意味します。
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- このようにいうと、実に「変った理論」のように映るかもしれません。同業者である、理論型のマーケティング コンサルタントがこんな話を聞けば、そんなことがあるわけがない。などと言いそうな気さえします。
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- 何より、こんなことをいえばいうだけ私の責任が大きくなってしまいます。
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- しかし、そんなことをいつまでもいっていても、盲目的な経営しかできないわけです。 .
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- 少々、誤解の恐れがあったとしても誰かがこのことを発言するべきなのでしょう。事実、 アメリカには「私たちのノウハウで業績が上がる」と言い切る会社がたくさんあります。
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- 30年ほど昔の話ですが、日本でも流行した「CI(シーアイ)=(企業活動目標同一化)」という名の仕事は、アメリカのデザイン会社によって開発されたものでした。彼らのデザインを中心にした仕事は1件 が1億円近くするものでした。
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- どうしてデザインの仕事がそんなに高額な値段で売れたかというと、彼らはデザインを売ったのではなく「こうすれば売れる」というシステムと、そのシステムをシンボル化した「錦の御旗=業績向上のシンボル=新しい企業マーク」を まるごとセットで販売していたからです。
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- 現在、中途半端に勉強したデザイン会社が不勉強な形で「企業マークのデザイン料は高額」などという、 実に製作者に都合の良い論理でいい加減なマークをびっくりするほどの価格で販売しているようですが、それは「単に 売れる仕組みのないデザイン」に過ぎません。
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- そこに「こうすれば売れる」というシステムがセットになっていなければ、高額で購入する意味も意義もないわけです。
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- 「売れるデザインシステム」などというと、そんな便利なものがあったのか? などと思う方もいらっしゃるかもしれません。ご興味のある方は「大手書店のマーケティング」の コーナーで、「CI(企業変革)」などという少々高額の本を購入して読んでみてください。
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- ただし、それらのデザインに1億ものおカネを払う気になれる人は滅多にいらっしゃらないでしょう。たまたまCIのことを例に出しましたが、それは、企業の業績を伸ばす目に見えやすいノウハウの一部に過ぎません。
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- 販売というものは、たくさんの要素によって左右されています。大企業になればなるだけ多くの販売手段を使っています。そのことにより、販売というものが、よりいっそう混沌として見えにくくなっているのです。
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- 販売というものが見えにくくなる最大の原因が「セクショナリズム」という偏見的なモノの見方です。「販売は営業の仕事だ」と狭い了見で企業人としての責任を回避しようとするヒトがいます。また、売れなくなると「営業が弱い」とか「制作側が良い商品を作らないからだ」といった「責任のなすり合い」が見られます。
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- いずれの見方も同じで「企業としての販売のクオリティ」を見失っているに過ぎません。販売というものは「部署」や「セクション」に関係せず、企業活動に従事しているすべての人が行うものです。
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- 業績の良い会社に遊びに行くと、ほとんどの場合例外なく、営業だろうが総務だろうが、 工場のヒトだろうが自分の部署に関係なく、その会社の人全員がきちんと挨拶をしてくださるものです。
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- このエピソードひとつ見ても、売れる会社はどこかが違っているもので「全員で企業の利益を追求している」という感じが自然と伝わってくるものです。
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- 従来、その「ムード」や「風土」は「わかりにくいもの」とされてきました。私も長い間、 この問題に振り回されてきたのです。しかし、いくつもの錯覚や誤解に気づくようになって、難問だと思っていたものが、実は単純なことであったと気づくようになったのです。
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- システム化といえば「理科的な理論」と捉えられがちに思います。私もそこを大きく錯覚していたのです。製品のクオリティは「自然科学的」に改善できますが、「販売のシス テム化」は「社会科学的」に改善しなければならなかったのです。
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「製品の品質向上」と「販売の品質向上」
情報化戦略
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- システム化というと、工場などの「生産ラインの効率改善の話」か「コンピューターを活用したIT系の話」のように感じやすいもので「システム=理科的で科学的な考え方」というふうに受取られがちに思います。
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- こういった「理科的で理論的な考え方」は「自然 科学的理論」といえます。
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- 自然科学的理論の実に分かりやすい例は「算数の問題」です。たとえば「1+1=2」。 こういう「自然科学的な考え方」には、ひとつの答しかありません。「1+1=2」。 こういうふうに、答がひとつしかない理論こそ「自然科学的理論」と呼ばれるものです。
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- そもそも「IT」というコトバが先行し、流行してしまったことにより「IT化こそ最先端のシステム技術」というようなカンチガイが生まれています。「IT化」の源流をたどると、そこには「QC活動」というものが存在しています。
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- 「QC」には「クオリティ・ コントロール」つまり「品質の向上と管理」というものが土台にあるのです。「QC」は「TQC」とも呼ばれていました。これは「テクニカル・クオリティ・コントロール」の略。 つまり「品質を向上させ管理する技術や工夫」のことで、ITもその一部でしかないのです。
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- 在庫管理や、工場の効率改善。生産性の向上を行うための「工夫」こそが、企業の「利益体質を作る」という考えから、「QC活動」というクラブ活動のようなものまでを行っていた時代さえありました。その結果生まれたものが「オートメーション化」です。
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- 「オートメーション化」は、コンピューターの発達により、ドンドン加速していきました。 それが今では「IT」という形に「呼び名を変えて存在している」だけなのです。
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- 「単純なこと、 量的に機械に任せてしまったほうが早いこと」は「ランニングと教育のコストがかからない機械に任せてしまおう」という「オートメーション化」が「総務」や「営業」や「顧客管理」の分野にまで侵食し、「IT化」という時流にも乗り展開されているわけです。
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- しかしながら、この根源にあるものは、あくまでも「自然科学的な工業職人の工夫」でしかありません。「オートメーション化」の原点である「QC活動」がその根幹なのです。
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- 日本という国が「工業大国」として経済大国の仲間入りをした1970年代、どの会社も、 猫も杓子も「QC!」「QC!」「TQC!」と声を張り上げて効率改善をしていました。
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- いまだに工業系の大きな会社は「QC活動」を行っています。
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- これは「常に生産性を向上させ経費を抑えようとする」という「利益体質を作るための活動」としては当然のことです。古いことをやっているわけではなく「IT化」を図って いる企業の効率改善とは、実は「QC活動の一部」です。
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- つまり、現在でもかつてからの「QC活動」によって、企業内の体質を改善していることに何ら不思議はないのです。
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- さて、どこもかしこも「生産性の向上」「利益体質化」「コスト削減のためのオートメー ション化」を推進しているうちに、こういった「単なる生産性向上」だけでは競争手段として不十分になりました。。
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- 「企業のシステム化」は「自然科学的なシステム化」 だけではとどまらず「社会科学的(デザイン・マーケティングなど文系理論の)システム 化=販売のシステム化」までを行わなければ競争に勝てない時代に突入してきたのです。
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「販売を決める、モノ、人、情報」
情報化戦略
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- 「販売のシステム化」は、あくまで「販売そのもの」を問題にしています。販売競争がきびしくなった現在、販売そのものを戦略化しなくては、競合企業に太刀打ちすることなどできないのです。しかし、それを抽象な形でいくら議論しても何の解決にもなりません。
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- ビジネスライクというコトバがありますが、ビジネスにおいては、理論もノウハウも「ビジネスライク」でなければ、何の意味もなさないのです。
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- そのことを具体的にいうならば、「販売のシステム化」は、つぎの三つの質問に答えられるものでなければならないことになります。
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- 1 「なぜ売れないのか?」
- 2 「どうしたら売れるのか?」
- 3 「それで売れるのか?」
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- 「販売のシステム化」という理論は、まさにそれに答えるべく構築されたものです。「販売のシステム化」による効果は、次のように「モノ」「人」「情報」の三つの効果に現れてくるものです。
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- 1 「売れる商品(店舗)づくり」・・・・・モノ効果
- 2 「売れるセールスマンづくり」・・・・人効果
- 3 「売れる情報づくり」・・・・・・・・情報効果
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- このような「社会科学的」な質問と効果は、従来の「自然科学的システム化論」においては、「土俵」自体が違っていたため、まったく論じることができなかったのです。
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- カンタンな いい方をすれば、学校の「社会のテスト」を「理科の理論」で解こうとするようなものだったのでしょう。つまり「販売のシステム化」論を主張する立場からみると、従来の「シ ステム化」と「販売のシステム化」とは、まったく目的が違うものなのです。
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- 違うものを同じように扱っていたのでは、うまくいくはずがありません。
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- 企業にとって「システム化」と「販売のシステム化」は「夫と妻のコンビ」のように、 どちらか一方だけで成り立つものではないのです。この点を従来の「システム化」は見落としていたのだろうと思われます。
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- もっとも、従来の「システム化」は「作業効率の改善」を対象にしていた「作業のマイナス論」だったのですから、その「マイナスを図るためのシステム化」を用いて「売上を向上させる」という「プラス論」に当てはめてみても対応できなかったのは当然です。
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- 減らすことに特化した「削減システム」を、増やすことに当てはめたら空中分解してしまいます。ダイエットに最適な食品を食べまくって体重を増やそうとしているような、トンチンカンな話になってしまいます。
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- 経費削減と売上向上は、どちらも会社の経常利益を上げるという目的では同じですが、 その方向は、いわば「右と左、上と下」のようにベクトルの方向がまったく違っています。
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- 「木に登って魚を求める」ような批判をしては意味がありませんが、「システム化」の偉大さに酔った人たちが、知らないうちに「作業効率の改善という削減化という木に登って、 売上を増幅させるという販売の魚を求める」ようなことをされないように願うばかりです。
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「モノ、人、情報の三原則」
情報化戦略
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- 「売る」「売る」「業績を上げる」「売上を上げる」といっても、気持ばかりがはやってしまい、前進しないことが多いものです。通常、こういった会議では議論が漠然としてしまっ て、問題点がつかめず、話がお互いにかみ合わなくなり、結局はなにをすれば良いのかわ からない・・・ という結論にいたってしまうことが多いからです。
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- そのことを反省すると「売れるという事実・実態の急所」を把握しておくことの重要性がハッキリしてきます。いったいどこにその「急所」があるのでしょうか? 最近は、理論や知識が増え過ぎてしまって、かえってわけが分からなくなってしまっている傾向にあるようです。
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- 講演をしている人やコンサルタントなどをインターネットで検索すると、そんなにいるの? とビックリしてしまうほどです。さらに、実績のある人やセミプロ、アマチュアまでが、それぞれ違う理論を持ち出してきますから大変です。
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- 「あれも大切」「これも大切」と思っている間に、いつの間にか「木を見て森を見ず」という自体に陥ってしまいます。
- 私どもも実際に「業績を向上させる支援」という仕事を行っていますが、理論ではなく 「実践論・実績論」という角度から見ると、「売れるという事実・実態の急所」というものが、 そんなに複雑なものではないことがハッキリしているのです。
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- 実は、「売れるモノづくり」 「売れる人育て」「効果的なコミュニケーション活動」の三つを行えば充分なのです。我々は、この三つを「販売の三要素」と呼んでいます。
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- 「販売の三要素」
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- 1 売れる商品(店舗)づくり(モノ)
- 2 売れる人育て(人)
- 3 販売を効果的にするコミュニケーション(情報)
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- まず「売れる商品」を持たない企業が伸びるワケがありません。売れる商品を持つということは、特にメーカーの場合には「決定的な要因」となります。
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- 残念なことに「どのメーカーでも同じような商品を作っているために売れていない」という問題が続出しているのが現状です。言い換えるならば「売れる商品というものが、いったいどんなもなのか、さっぱり分からなくなってしまった」という状況が多発しているのです。
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- この問題は、実はきわめて重要な問題なのです。この「事実」から逃げてしまうと、いつまでたっても「業績が事実として上がらなくなってしまう」という結果を招くことにな るのです。
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- 同じような商品でも「すぐれたセールスマン」がいると業績がグンと上がります。その ことを知ると、すぐれたセールスマンを育てたくなるのでしょうが、これがなかなかうまくいくものではないのです。
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- それもそのはず、実は「売れる商品を作ること」と「売れる セールスマンを育てること」の本質はまったく同じなのです。 .
- 最後に残った「情報術」という部分に話を移してみましょう。情報を発信するものは、 驚くほどたくさんあります。広告、インターネット、新聞記事、口コミ、しかし、よく考 えてみるとそれはすべて「マスコミ的情報術」として考えられることになります。すべて の情報は「ちまたの人たち」への「行き先のハッキリしない情報発信」でしかないからです。
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- 売れる企業は商品づくり、店舗づくりそのものが、この情報術の原理にかなっています。 売れない時には、この三要素のどれかに大きな欠点があるものです。
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- それを適確に分析し、問題点を抽出しなかれば、業績はいつまでたっても上がりはしないでしょう。
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- 少々「経営学」などを勉強している人ならば、「販売の三要素」は、いわば常識であり当然のこと、などとお考えになるかもしれません。「では、どうすれば売上が上がるのでしょ う?」と質問すると、とたんに口をつぐんでしまわれます。
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- それは、理論は把握している ものの業績を向上させる具体策が何ひとつイメージできないからです。その部分を具体的 な実践論、対策論として噛み砕いて説明していきたいと思います。
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「セールスのツボと枝葉末節」
情報化戦略
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- さて、三要素を判断する手がかりとして、ここで、販売の三法則を紹介しておきたいと 思います。それは、次の通りです。
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- 法則1 知らないモノは欲しくならない
- 法則2 すぐに納得(理解)できないモノは欲しくならない
- 法則3 嫌いなモノは、どうやっても欲しくならない
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- 「知る」ということは、典型的なコミュニケーションですし「理解(納得)」ということもコミュニケーションの大きな要素のひとつです。最も誤解されやすいのが「好き嫌い」 という「情緒的なコミュニケーション」です。
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- これは「デザイン」や「音楽」「対応・態度」 など、相手の「感性(右脳)に働き掛ける形できわめて強い伝達効果」を上げるものです。
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- 一般的には、この情緒的コミュニケーションのことを「イメージ」というコトバで表現しています。逆のいい方をすれば「イメージ」というコトバだけで、あまりにもカンタン に片づけてしまっています。この乱暴な表現を色々な人がバラバラな意味で使っているこ とが、具体的な戦略を曖昧化させ事態を混沌とさせているのかもしれません。
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- 今日のセールスは、このイメージ(情緒的コミュニケーション・好き嫌いの感情、好み・ 嗜好)によって決定的に左右されています。したがって三法則の中でも、特に法則3を重視する必要があるのです。
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- ここで、少しこれらの事実を客観的に捉え治してみようと思います。そうすると、この 三法則はいずれも「コミュニケーション(伝達)効果」として把握できることがわかって きます。
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- 販売というものをこのように「コミュニケーション効果」として分析し把握する ことによって「販売のクオリティ」を管理することが可能になってくるのです。
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- こういう説明をしていると、メーカー志向の人はこういった疑問を持たれます。
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- 「良い商品を作ることが基本だ。良い商品を作りさえすれば売れる。だから『販売の三要素』 のように商品と他の二つ(人・情報)を同等に考えるのはおかしい」
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- また、もうひとつの質問は、いろいろなことを知り過ぎているというか、この三要素以外のことを専門にされている人からよく出てくる疑問です。
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- 「企業というものはそんなに単純じゃない。もっといろいろと大切な問題があるはずだ。」 そのように感じる人がいるのはもっともです。前にも述べたように、今日の企業活動 は、きわめて複雑化していて、それをカンタンに分類しただけで八部門四十費目になるほ どです。
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- それらの活動は、何かの必要性があって行われていますし、部分的に考えれば重要な役割を果たしていることは間違いないのだろうと思います。しかし、このように分析的に見過ぎると、企業活動が末端肥大的に見えるようになり、中心点を見失って、企業活動を管理することができなくなってしまいます。
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- ですから、四十費目を分類した後は、逆に、どこへエネルギーを集中すると効果が上がりやすいのか・・・という目で見直していくことが大切になるのです。
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- このおカネは「経費」なのか「投資」なのか? どこへ、どのような投資を行うべきか? どの経費がカットできるのか? そういうことがわからなくなると、予算は膨張するばかりで、結局のところムダな出費を増やす羽目となります。
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- ある時、某メーカーさんが私の書斎オフィスまで遠路はるばる訪ねてこられました。 「新しい商品のキャンペーンをしたいのでポップとディスプレイの資料があれば、それを貸し出して欲しい」とおっしゃるのです。
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- その新しい商品を拝見して、このパッケージでは中身がどんなによくても中身の良さがまったく伝わらない・・・そう思ってこういいま した。
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- 「なぜ、ポップやディスプレイの勉強をしたいのですか? 商品が売れないからですか? もし、商品が売れないという理由ならば、ポップやディスプレイの勉強などを商品を見直してみる前にしてしまったら、かえってこんがらがってしまいます。なぜ、売れないのか? 商品自体に問題はないのか? それを最初に調べてみませんか?」
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- 残念ながら、上手に説明できなかったためか、この方に納得いただくにはいたりませんでした。
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- 「何とか資料を貸し出して欲しい」と、そればかりに一生懸命になるのです。このエピソー ドは、多くの人がいかに「販売の三要素」を軽視しやすいかということを示す一例にすぎ ません。
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- 族に枝葉末節といいますが、ポップやディスプレイは、まさに一つの小枝にすぎないの です。小手先のことに一生懸命にエネルギーを使っても販売という「幹」には、たいした影響はないのです。
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- 「販売」というものの大もとは、あくまで「販売の三要素」によって決定的に左右されているのです。おおよその場合、五〇%以上がこの要素が問題になっ て売れていないにすぎません。
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- このことを改めて見直しておくことが大切です。
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- ゴルフでもスキーでもテニスでも、むやみにチカラを入れると、かえってうまくいかなくなるものです。そこには「ツボ」なり「コ ツ」なり、そういうものがあるからです。
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- 販売も同じです。むやみにチカラを入れるだけではうまくいかないのです。
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「デジタルなシステム化・アナログなシステム化」
情報化戦略
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- いろいろと説明をしてきたわけですが、「生産業務・事務業務のシステム化」と「販売のシステム化」の違いを理解しておくことは、きわめて重要なことです。
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- まとめとして、 このような説明を加えることにしたいと思います。それはシンプルないい方をすると、従来の「システム化」が「物理的でデジタル的なもの」であることに対して、「販売のシステム化」が「心理的でアナログ的なもの」であることです。
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- 人間は「理性(デジタル)」と「感情(アナログ)」によって構成されています。
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- そのどちらにかたよっても、人間らしさを失ってしまいます。そのことは「商品」「店舗」「セー ルスマン」「情報」すべてに言えることです。
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- 理性と感情は、水と油のように相反するも のです。
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- ですから「システム化」と「販売のシステム化」もまた水と油の関係にあることは、 容易に想像していただけるのではないでしょうか。
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- そのことを思えば「システム化の技法」 を単純に「販売」という分野へ拡大しても成功できないのは当然のことなのです。
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- たとえば、システム化の代表といえば「IT化」です。ITの分野では、システムの完成度をチェックするための試験方法がいくつもあります。システムエラーを防ぐ方法は、 データの入口と出口をたどっていけばハッキリとしていくわけです。
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- その方法は、あくま でも「物理的で数学的」な「自然科学的なものの組み合わせ」ですから、やる気になればシステム化として成果をあげることは、それほど難しいことではありません。
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- それに対して「販売のシステム化」においては「販売のクオリティ」の良否を判断し、 選択する「物理的で数学的な自然科学的な方法」は存在しないのです。
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- あるのは「心理的な方法」のみです。物理的な方法は数式化(デジタル化)することができますが、心理的な方法は「社会的で感覚的(アナログ)な社会科学的な方法」のみです。
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- 親権に販売の向上を求める時には、この「相違点」を理解することが決定的な要因になっ てきます。
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- 幸い「販売のシステム化論」を公開するようになってから、多くの方々から強い関心を示していただくようになりました。それは、まさに「従来のシステム化だけでは、 販売という問題が解決できそうにない」という産業界の気持を象徴するものだととらえざるを得ないのです。
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