「加納 光」の Blog
「マーケティング」に関するメモ
2016.05.22
販売戦略
By Kanou Hikaru
「イノベーション」
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近代の産業における最も劇的なイノベーションは「フォード社」の設立による「大量生産システムの発明」と言われています。
なんと、今から100年以上前、1905年頃の話です。その当時の経営戦略上の価値観、マーケティング戦略上の価値観は「百戦百勝」「百発百中」といったものでした。
つまり、100台作った車が100台売れる・・・ これが「大量生産方式の経営のコンセプト」だったのです。
あまにも衝撃的な変革であったため「神話」となり、20世紀と呼ばれる100年もの間「このやり方が最も成功しやすい方法」と考えられてきました。
これが成り立つまでは「高所得者」のみが「職人」に「1点もの」を「高額」で作らせていた・・・ という形でした。
それが「一般大衆」に「工場」で「ワンパターンのもの」を「低価格」で作るようになった・・・ これこそが「産業構造の変化」「大衆の活性化」を促したのです。
「安全な○○を低価格でお届けする」という経営方針を立てる。マーケティング戦略として「材料を一箇所から大量に仕入れ、安価で広く多くのユーザーに届ける」という形を貫く。
販売促進戦略として「ローコストオペレーション」を行う工場を日々改善し「簡素化した作業をマニュアル化」して社員指導を行う・・・
これこそ「誰もが考えつくパターン」として、1960年ごろから日本にも導入されていきました。そして、日本においても色々なものが生まれます。
「テレビ」「洗濯機」「冷蔵庫」という「近代3種の神器」が世の中に普及し「カラーテレビ」「エアコン」「マイカー」が「次世代の3種の神器」として登場しました。
他にも たくさんのモノがこういう形で作られ普及していきました。
そうなった頃に「コンピューター」が導入されはじめます。実は、マーケティングの世界においては、この「コンピューターの導入によって生まれた新しい改革」こそ「大量生産誕生に優る大きなイノベーション」とされていたのです。
しかし、その件は「コンサルタント業界」や「大企業の経営者」にのみ伝わる形となりました。
私の手元に、この件について書かれた懐かしいレポートが残っています。この25年も昔に「経済や経営についての先見レポート」を書いた著者は、ハーバード大学の「児玉文雄」教授・・・ 当時、私たちの業界の人間にとっては、知らない人がいないほど とても有名だった経済学者の先生です。さて・・・
マーケティングの世界で、驚くべき大変革があったことを耳にしていなかった「一般の方々」は、100年前の「大量生産誕生の神話」こそ、絶対的な成功法則と考えられ続けてきたのです。
それは、今でも続いています。「安くすれば売れる」「オペレーションをしっかりさせれば儲かる」「マニュアルを作れば社員は働く」・・・と、誰もが考えてしまうのです。
しかし、1980年 以降、マーケティングに力を注ぐ企業が生まれ、それまでの「百戦百勝」「百発百中」という考え方が「一戦一勝」「一発一中」こそが、新しい形の「必勝マーケティング戦略法則」となったのです。
それまでは「100人に同じ形の商品を100コ届ける」というものでしたが、この時点から「1人に対して専用にカスタマイズされた大量生産価格の商品を1つ届ける」に変わったのです。
自動車であれば「この自動車のCランクの商品を○○色にして私だけのオリジナルとして納車して欲しい」・・・ といった形です。
つまり「大量生産商品なのだけれど、私用にカスタマイズして、大量生産商品価格で届ける」・・・という「大量生産のバージョンアップ スタイル」こそがマーケティング戦略の中心になってきました。
それを実現させるために、新しい工場が生まれ、新しい「多種多様に対応するためのマニュアル」が生まれ、新しい「生産システム」が生まれました。
「トヨタのカンバン方式」などは、その代表的な例だと言い切って良いと思います。この「新しい形=大量生産のバージョンアップ スタイル」は、忍び足で ジワジワと世の中に広まって行きました。
しかしながら、このように「足音を忍ばせてジワジワと拡がっていく新しいマーケティングスタイル」に気づかずに経営を続け、いつの間にか 知らず知らずのうちに取り残されて ジワジワと売上を下げていった企業がたくさんあるのです。これは「飲食業界」においても同じことが言えます。
「安全な ハン○ーガー を低価格でお届けする」という経営方針を立て、マーケティング戦略として「材料を大量に仕入れ、安価で広く多くのユーザーに届ける」という形を貫いてきた業界トップの会社が、最近になって驚くほどの苦戦を強いられています。
これは「百戦百勝」「百発百中」の戦略が時代の波にもみ消されようとしていることを意味します。
それに取って代わって「安全な コーヒー を1人ひとりのオーダーにカスタマイズして 基本的には 安価でお届けする」という新しい形を導入している コーヒー屋さんがグングン業績を伸ばしています。
つまり「一戦一勝」「一発一中」の戦略こそが、その業界の新しい形として定着している事実を証明していることになります。
実は、もうひとつ逃げ道があるにはあるのです。「百戦百勝」「百発百中」の戦略が うまくいかなくなった時・・・ 「さらに価格を落とす」という方法です。この形で対応して成功した企業も少なくありません。
代表例は「ファミリーレストランチェーン」です。普通のファミリーレストランチェーンとして全国展開していた「すかい○ーく」が、一斉に「格安のファミリーレストランチェーン・ガ○ト」になった・・・という例を、きっとみなさんご存知だろうと思います。
さらに、いままでファーストフード店の目玉商品として販売されていた「テイクアウトの100円コーヒー」が、コンビニエンスストアの目玉商品として販売されはじめた・・・ ということを みなさんが体験的に理解しているのではないかと思います。
販売戦略というと堅苦しくなりますが、いわゆる「モノの売り方」は、ドンドン進化しているのです。当然のことながら、いまだに「高所得者」のみが「職人」に「1点もの」を「高額」で作らせている・・・という「カテゴリー」もあります。
そして「一般大衆」むけに「工場」で「ワンパターンのもの」を「低価格」で作るようになったという「カテゴリー」も多くあります。
しかしながら、どのカテゴリーの商品であれ、最初は「職人」のステップ、それが「大量生産」のステップへ、「さらに安価な大量生産」のステップへと移行し、最終的には「一戦一勝」「一発一中」のステップに至る・・・
突然、2段飛びで対応しても上手くいきません。競合商品の半歩先で販売する・・・ その形が最も効果的な販売戦略となるのです。
そのように「競合状況」を観察して先々を読み解く・・・ これが私たち「マーケティングの専門家」の仕事でもあるのです。
ホンキで売上を上げたいのであれば、ここに紹介したノウハウの詳細をゆっくりと読んでいただければ・・・ そのように思います。ホンキで解説していますから、とっても長文ですよ・・・
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