「売れてしまう理由」

2)「トコトン分けること」にこだわる



Chapter-10 「購買習慣」という角度

(1)購買習慣から見た商品

マーケティングの基礎「コープランド理論」

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  • マーケティングの理論の中には色々な理論があります。特に有名なものといえば「コトラー博士」のマーケティング論です。確かにあの「重なる山々の山脈をたどるような理論」は素晴らしいものだと思いますし、私も大好きです。そしてまた、マーケティング論の基本中の基本といえば「M・T・コープランド」氏の「購買習慣理論」です。コトラー理論が「贅沢なごちそう」であれば、コープランド理論は「基礎料理」といったところでしょう。
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  • 大学のマーケティング論の中にも当然、基礎理論として登場する「コープランド論」ですが、世の中には色々なコンサルタントがいらっしゃるものです。自分は、マーケティングのコンサルタントだ、そこで、あなたと議論を交わしたいとおっしゃる人物と会うことになりました。驚いたことに「コープランド理論」をご存知なかったのです。アメリカでマーケティングを学んでいる大学生ならば「常識」とも言える理論をご存知なかったのです。
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  • コンサルタントの先生でさえこのような状況です。それぐらい日本の「マーケティング」は発展途上なのかもしれません。とはいえ、そのコンサルタントの先生は、もっぱら「コトラー理論」がご専門だそうで、業績を上げるということに関しては、ご興味がないとおっしゃっていました。業績を上げないマーケティングというものが世の中に存在したのか・・・と、少々ビックリしてしまいました。
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  • 会話の中の売上強化策を「料理」に例えるならば、その先生は、ビーフ・ストロガノフといった難しい料理を作ったことがあるが、自分は野菜炒めが作れない。ビーフシチューは作ったことがあるが、肉ジャガを突然作れといわれても困るというようなことをおっしゃるのです。売上向上の実践、一本やりで学んできた私のような人間にとっては、世の中には不思議なことがあるものだとクビをひねるばかりの時間となってしまいました。
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  • さて、本題に入りましょう。コンビニエンス(convenience)という言葉があります。そうです。あの「コンビニエンス・ストアー」の「コンビニエンス」です。M・T・コープランドこそ、この「コンビニエンス・ストアー」の語源となったともいえる「購買習慣理論」の生みの親だったのです。
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  • ユーザーが商品を購入する商品は、購買の習慣から3つに分類できる。というのがこのM・T・コープランドの説いた理論です。商品には購買の角度から見ると「回周り商品(shopping goods)」「最寄り商品(convenience goods)」「専門商品(speciality goods)」の3種類に分類できるといったのです。ここで、日本語では兼ねてより「最寄り品」と訳されていますが、この「最寄り品」こそ「コンビニエンス商品」の語源だったのです。
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  • このようなことをご存知ない人に「コンビニエンス商品」というと「あぁ、コンビニエンス・ストアー・で扱っている商品のことだね。」といった違った解釈をされてしまいそうです。しかしながら、この「実に実践的なM・T・コープランドの理論」をご存知なければ、商品の売上強化を図ることは難しくなってきそうなので、念のためという意味でご紹介しておきたいと思います。
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(2)コンビニエンス(最寄り)商品

コープランドの分類(1)

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  • そもそも、「コンビニエンス・ストアー」という言葉に登場する「コンビニエンス」という言葉は「M・T・コープランドの分類」が起源となっているのです。マーケティングの翻訳本には「最寄り品」という言葉で表現してあります。歴史を順に追って考えれば、コンビニエンス・ストアーとは「最寄り品を扱っているお店」という意味になります。それがいつの間にか「24時間営業している便利なお店」という意味合いに変ってしまいました。
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  • ですから、いまさら歴史を立ち戻って、その語源である「コンビニエンス商品」というような表現をすると、コンビニエンス・ストアーで取り扱っている商品という本来の意味合いとは別の意味を持った言葉のように聞こえてきます。しかしながら、本来の意味合いはそうではありませんし、英語の持つ意味合いを順当に翻訳すると、やっぱり意味合いが違っているのです。
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  • 「M・T・コープランド氏」のいう「コンビニエンス商品」とは「エンドユーザーが何度も繰り返して購入する、カンタンにすぐに購入できる商品」という意味なのです。また「この分類の商品は他のメーカーの商品と価格や品質を比較しても、あまり得をした気分にならないと購入者は感じている」という風にも表現しています。カテゴリーとしては「家庭用品」「調味料や食品」「菓子類」などがこの分類にあてはまります。
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  • さらに「コンビニエンス商品は、その商品が必要となる前にエンドユーザーによって選択の基準が決められていることが多く、特別の商品をわざわざ探し出そうとはしない。とはいえ、決められているのは基準であって、商品を決めてしまっているのではない。自分が理解できる商品の中から、衝動的に購入してしまうのだ。」という風にも説明しています。
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  • コンビニエンス商品についての、これらの考え方は「パッケージ商品」の広告理論に全面的に適用されています。つまり「大規模な広告展開」によって、あらかじめエンドユーザーに選択の基準を与えておき、エンドユーザーが衝動的に、特定の商品を衝動的に購入してしまう可能性を高めておくことが、売上の向上に非常に有利に働くということです。
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  • 大規模な広告展開ができない場合の戦略のヒントは、後に述べることととして、売上高の高い順に、つまり、成功のセオリーにのっとったカタチで成功している事実がある以上、一般的に大企業がどのような戦略を立てて「大規模な売上を確保しているのか」というところから、順をおって説明しなければならないように思うのです。まず、なぜ、大規模な広告展開が有利なのかを明確にしておきたいと思います。
  • a)「ユニークなセールス・ポイントを広告して知名度を上げ、エンドユーザーの記憶にしっかりと植え付けておくと衝動買いに結びつきやすい」
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  • b)「選択の基準となるユニークな特徴がない場合は、個性的なブランド・イメージをエンドユーザーの記憶に植え付けておくと衝動買いに結びつきやすい」
  • コンビニエンス商品に対する戦略的な考え方は、このようなものです。いずれも衝動買いを狙っているのです。そこで「衝動買い」ということについての「心理」を、もう少し掘り下げてみたいと思います。
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  • 衝動買い商品
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  • 「衝動買い」という言葉は「無計画購入」という言葉と同義語で使われます。つまり、前もって「この商品を購入する」と計画せずに「実際に売場において、個別アイテムを決定する」という意味合いと受取るのがマーケティング的には順当だろうと思います。色々なマーケティング調査方法がありますが、その中に「滞店追跡調査」というものがあります。
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  • スーパーや百貨店に入ってきたお客様に悟られないように、何を買おうとしたのか、どこで迷ったのか、どの商品を購入したのか、ということを調べる調査のことを言います。覆面調査であるため、何という会社がこのような調査をおこなっているのか、会社名をご紹介できないのが残念ですが、企業名を聞けば誰もが聞いたことのある企業であることがわかるでしょう。
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  • さて、その「某、○○総研」というマーケティングのスペシャリスト集団の調査内容の一部をご紹介したいと思います。定期的に「滞店追跡調査」をおこなっているレポートによると「セルフ購入の店頭で、迷ったあげく、そのカテゴリーから個別アイテムを選択して購入する平均割合」は、なんと「50%を越える」という結果が出ているのです。
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  • 当然、安売りのチラシなどを折り込んだ日も含まれています。そういう日は、当然「広告の品」にお客様が群がるわけですから、そういう日を除いて計算すると「50%をはるかに越える割合」で、店頭で迷いに迷った上、どの商品を購入するかを決定しているのです。1985年の時点では「38.2%」、1990年の時点では「39.6%」、1995年では「44.7%」、2000年では「48.6%」、2005年時点では「50.8%」となっています。
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  • つまり、かつては「大規模広告展開」が、エンドユーザーが店頭で衝動買いをしてしまう決め手、となっていたにもかかわらず、現在では「参考にはするけれど、店頭で選択する」といった方向へとドンドン変ってきているのです。これは、きわめて重大な問題を示唆しています。このように衝動買いが多くなれば、多くなるほど、衝動買いのツボを抑えた商品戦略、広告戦略、マーケティング戦略が必要になってくるのです。
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  • そのためには、衝動買いというものを、もう少し深めて分析的に理解しておく必要が出てきます。
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  • 問題はどうやら3つありそうです。第1は、どんな商品に衝動買いが起るかということです。スペシャリスト集団のレポートによると、スーパーマーケットで買える商品、特にパッケージ商品に多いようです。第二波、衝動買いはなぜ起るかということです。先ほど「買い慣れた予備知識のある商品は、カンタンに買ってしまう傾向がある」と述べましたが、この2つが商大の条件のようです。
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  • 衝動買い商品が、低価格で類型化された商品の多いカテゴリーであることも忘れてはならないでしょう。第3は、衝動買いにも種類があるということです。衝動買いとは、いったいどのようなものかとなると、案外、まとまった考えがないといわれていますが、それは単に、日本で翻訳されたマーケティングの文献が少ないということでしかありません。
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  • F・コトラーのマーケティングや、マズローの心理などが翻訳本としてはよく売れている本ですが、確かに、それらの本に、こういったことは書いてありません。とはいえ、文献がないかというとそうではないのです。その原因は、こういったマーケティングの基本が書いてあるマイナーな専門書を大学の授業で使っていない。単に、そういうことでしかないようです。
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  • さて、そういったマイナーな文献の要点をまとめると、衝動買いの要因がハッキリ見えてきます。どうやら衝動買いには、いくつかのタイプがあるようです。衝動買いは「経済状況」「情報量」「個人的嗜好」「時間」「場所」「その他文化的要因」などによって変ってくるのです。
  • a)「純粋な衝動買い」これは、本当に衝動的に購入するといった様子を表しています。新商品を見て、つい買ってしまったとか、どうも嫌な感じがしたので、急に買うことをやめたといったものです。これは、商品デザインが気に入らないとか、色があせてしまっている気がしたとか、近くに、もっと感じの良い商品があったので、そちらを買うことにしたという傾向のもので、なぜ、そうしたのかと理由を聞かれても、なかなか答えられないことが多いのです。大規模な広告展開をしている商品に対抗する場合、この部分で勝負することは可能です。これは、パッケージ・デザインに関して、心理的なもの、本能的なものが働いていることを示しています。広告をおこなっていなくても、勝機は充分にあります。先ほども述べましたが「50%以上」はパッケージ・デザインの比較で購入が決定しているのです。
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  • b)「記憶による衝動買い」店頭で商品を見た時や広告を見た時の記憶や印象が思い出され、ふと手が出てしまう様子を表しています。また「あの商品がなくなっていた」というようなことを思い出し、急に買う気持になることです。以前、買った経験、使った経験を思い出し、それが衝動的な反応となって出てくるものです。つまり、記憶に左右されているわけで、記憶に強く働き掛けるために、多くの大企業が、大規模なメディア展開を行っているのです。
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  • c)「暗示による衝動買い」店頭で、予備知識がない商品を見た時、その品質、機能について、暗示的に判断して衝動買いすることがあります。機能や品質について、記憶にたよるものでもなく、単なる感情的にでもなく、理性的に機能、品質を感じるところが前の2項目と違っています。これは「クチコミの暗示」によって起こりやすいものです。つまり「企業のクレームに対する対応」など「企業ブランド」「企業姿勢」といったものに大きく左右されるのです。結果的には「クレームに真摯に対応してくれる、○○会社の商品」という会社のマークが大きく左右していることが多いのです。さらに、製品のデザインや、パッケージのデザインによって暗示される機能的な訴求力によってもよく起こるものです。
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  • d)「価格による衝動買い」主婦は店頭で商品を見ながら夕食の献立を作り、思いついた献立にしたがって衝動買いするといいます。店頭では「広告掲載商品」「クーポン対象」「ノベルティ対象」など、さまざまな「割引き・値引き情報」が目に飛び込んできます。そういうものが、家形上の都合、今夜の夕食の献立などに結びついて独特の衝動買いを起こしているのです。
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(3)ショッピング商品

コープランドの分類(2)

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  • このタイプの商品はエンドユーザーが購入するにあたって、品質、価格、スタイルなどについて特別に検討する商品です。M・T・コープランド氏を始めとするマーケティングのスペシャリストたちの理論をまとめると、このようになります。「こういった努力にともなう、時間やお金といったコストを使うことになったとしても、なお、努力をして選択をしたほうが利益があると思われている商品をショッピング商品と分類する」と。
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  • このタイプの商品カテゴリーは「女性の洋服」「化粧品」「デジタルカメラ」「コンピューター」「家具」「自動車」「ハウス・リフォーム材」などがあります。
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  • 高所得者は、かなり高額な商品までコンビニエンス商品の分類と考える傾向があります。逆に、低所得者は、安い商品まで、この「ショッピング商品」と考える傾向があります。「ショッピング商品」に対して、エンドユーザーは先入観として、個別のアイテムまで絞り込んでいるわけではありませんから、アイテムを決定する時には、どうしても比較検討をする傾向にあるのです。
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  • このタイプの商品群は、女性が好む「ファッション要素の多い商品カテゴリー」のものと、「自動車」や「ハウス・リフォーム材」のような「ハード商品」なものとに分類されますが、コンビニエンス商品よりも高額であることは確かです。
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(4)スペシャリティー商品

コープランドの分類(3)

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  • もし、これらの言葉が生まれた1960年代に「マニアック(maniac)」という言葉があったならば、間違いなくこの「スペシャリティー商品」は「マニアックな商品」という表現がなされていたように思います。しかしながら、その当時はマニアが登場するほど世の中は熟成していなかったのでしょう。そのため、この言葉が生まれた当時、生活に余裕のある「高額所得者に限られた贅沢購入の分類」として、このタイプを区分する言葉が作られたようです。
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  • 商品カテゴリーとしては「別荘」や「美術品」や「特別限定商品」、「時代の最先端商品」、「レジャー用品」といった「嗜好のための高級品」といった分類になります。
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  • 高額所得者、もしくは「マニア」にとって「販売量が少なく、購入するために相当な努力が必要となる、コンビニエンス商品、もしくは、ショッピング商品」という特殊な分類とされています。コンビニエンス商品の場合、購入者は、前もって欲しいアイテムについて相当な知識を持ち合わせています。
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  • また、ショッピング商品の場合、購入するために最大級の努力をすることが特徴なのです。つまり、スペシャリティー商品は「高額所得者」か「マニア」以外は購入しない商品ということになります。つまり、カンタンな言い方をすれば「ムリしてでも買ってしまうもの」ということになるのでしょう。以上のように、購買習慣を3つのタイプに分けて判定しておくのが「実践的なマーケティング」の基本論なのです。
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まず 売れる人を 育てる
それが 成功の秘訣



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