「売れてしまう理由」

2)「トコトン分けること」にこだわる



Chapter-2 「商品の概念」が変わった

(1)「実質価値観」から「感覚価値観」へ

 答は、日々、微妙に変化しています。

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  • 「売れていた商品が売れなくなってしまった。」という話をよく耳にします。こういう状態になった時に限ってのみ「商品というもの」は、いったい何なんだろうか、という疑問がわいてくるものです。商品が売れなくなるということは、企業にとっては致命的ともいえることです。流通店舗から返品されてしまったり、倉庫に「不良在庫」が溜まっていってしまうことになると経営者は、まさに「身の細る思い」に至るものでしょう。
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  • 商品の「売行き」の状態を観察していると、企業によって、また、商品の種類によって、毎年、微妙な変化をしていることがわかってくるものです。その変化の「要因」となるものは、次にあげる「要因」によって引き起こされています。
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  • a「エンドユーザーの変化」
  • b「競合企業の変化」
  • c「技術水準の変化」
  • d「国際情勢の変化」
  • e「インターネットの発達」
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  • こういった変化が「企業活動のあり方」を微妙に変えていくことにつながるのです。こういった変化の中で、エンドユーザーの「商品に対する考え方・感じ方」が変っていってしまうのです。色々なところで「商品力」というような言葉が使われ初めていますが、これは「商品の機能そのもの」ではなく「商品のイメージ」をも含めた「ビジネス・モデル」を意味しているのです。つまり、「商品力」と聞くと「商品そのものの性格」と考えてしまいがちですが、実のところは「商品そのものを中心にしていた競争が、商品以外の要素への競争への移行」を意味しているのです。
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  • 極端な言い方をすれば「1年保証が常識の商品なのに、競合企業が1年保証を、3年保証にしたとたん、こちらの商品の売れ行きが悪くなる。」「今まで競合全社がオプション販売していた周辺機器を、競合企業が【おまけ】にしたとたん、こちらの売れ行きがわるくなる。」「競合企業の広告戦略が変ったとたん、こちらの売行きが悪くなる。」「競合企業の対抗商品のパッケージやネーミングが変ったとたん、こちらの売れ行きが悪くなる。」といった具合の話になってしまうのです。
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  • こういった「販売環境の変化」は、実に多角的で、しかも複雑なので「商品とは何か?」「自社商品の強味とは、いったい何か?」という疑問に対する答を見出しにくくしているのです。しかし、どうころんでも「商品に対する考え方」=「商品の概念」の変化こそ、売上を左右する変化に直結していますし、エンドユーザーの「感じ方」=「マーケティング」に対する「概念(考え方)」にも直結しているわけです。
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  • 「商品(マーチャンダイジング)」「販売方法(セールス)」「お客さんの感じ方(マーケティング)」に「概念」=「感じ方」=「考え方」の変化は、マクロ的に大きく見れば、次の4つの時期に区分されていきます。
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  • 1「商品中心・生産中心の時代」
  •   (そのカテゴリー商品が誕生てすぐ)
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  • 2「販売中心の時代」
  •   (そのカテゴリー商品がシェアの拡大する段階)
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  • 3「マーケティング主義の時代」
  •   (そのカテゴリー商品が需要を満たした段階)
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  • 4「マーケティング革新の時代」
  •   (需要が細分化されていく段階)
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  • 5「インターネット革新の時代」
  •   (事実が暴露されていく段階)
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  • この5つの時期は、エンドユーザーにとって、まったく「質の違った感覚」によって裏打ちされているわけですし、変化の典型として見られています。今から40年も昔に発表された興味深いレポートを紹介してみたいと思います。
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(2)「商品の概念」4つの段階

「ホットケーキ・ミックス」を作った「ビルスベリー社」

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  • 「森永のホットケーキ・ミックス」という「ホットケーキを即席で作る粉」があります。あれは、1880年代にアメリカで開発された「ビルスベリー社」の商品をコピーして作られた商品です。現在「ビルズベリー社」は世界的な食品商社として「高級アイスクリーム」の【ハーゲンダッツ】を経営する会社となっていますが、当時は「ホットケーキ・ミックス」でアメリカ全土を独占した企業でもありました。
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  • この「ビルスベリー社」のCEOであった「R・J・ケイズ氏」が、50年前にこういうことをインタビューで話していた事実があります。「今日(50年前)、ビルズベリー社が持ち合わせている【市場における販売戦略の指針】は、次のように要約できます。ひとことでいえば【売れなければ、何の役にも立たない】。1869年の創業当初、我が社は【会計】こそが最重要部署で、生産は2番目に、販売は最後にあるという経営戦略をとっていたのです。そして、次に述べるように【経営戦略】を進化させていったのでした。」(あまりにも長いインタビュー内容なので、手短にポイントを絞って次のようにまとめてみました。)
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  • 【進化・第1期】
  •  生産中心主義の「経営(商品)戦略時代」
  • (1880〜1930年)
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  • 我々は、小麦粉メーカーの専門科である。北アメリカ産の豊かな麦と水力に恵まれ、さらに優れた製粉機をも手に入れた。我々が高品質の小麦粉を作りさえすれば売れていくのだ。我々の最重要と考える仕事とは、高品質の小麦粉を作ることである。もちろん、小麦粉を売るためにセールスマンを雇ってはいるが、彼らの仕事は、帳簿を付けるために会計員を雇っている程度のものである。
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  • 【進化・第2期】
  •  販売中心主義の「経営(商品)戦略時代」
  • (1930〜1950年)
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  • 我々は、小麦粉製造業者であり、消費者に数多くの製品を提供している。我々は、この数多くの製品を効果的に販売することを可能にするための【販売システム(流通ネットワーク)】を持ち合わせる必要がある。我々は、セールスマンやディーラーが販売を行うために欲しがっているものを総て与えていかなければならないのである。(しかしながら、まだマーケティング哲学にまでは達していない)
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  • 【進化・第3期】
  •  マーケティング戦略主義の「経営(商品)戦略時代」
  • (1950〜1960年)
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  • 我々は、エンドユーザーのために商品を作って販売しなければならない。この「概念=戦略」から、新しい変化が生まれてきた。それが「ブランド・マネージャー」の「概念=考え方=戦略」である。それは、まず小さな広告部(広報部)をマーケティング部に変えるところからスタートした。この変化は部署の名称を変更する以上の大きな変化を意味していた。ブランド・マネージャーは、担当する商品について、あらゆる責任を持っていた。ブランド・マネージャーが担当している商品について社長のように働いたのである。生産、予算立案、価格の決定、法律問題および、これらすべての実施をすることである。
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  • 【進化・第4期】
  •  マーケティング革新時代の「経営(商品)戦略時代」
  • (1960年〜)
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  • 我々は、現在(50年前)「マーケティング(要求に応える概念)戦略を持った企業」から「マーケティング(要求に応える概念)そのものの企業」へと変換しつつある。「完成された小麦粉製品」というカテゴリー商品の代表的なものは、すでに我々の商品で埋め尽くされてしまった。ここから先は、より細かい「要求」に応え「細かいマーケットの不満を排除する形」で、その小さなマーケットに合わせた商品のバリエーションを増やしていく他、我々が市場を満足させていく道がなくなってしまっているのだ。今後のマーケティングは「長期の利益予測にたった、本来の要求に応える技術」を我々自身が身に付けていくこと以外にないと思われる。
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  • 20世紀が終わり、21世紀になっている現在でも、ビルベリー社における「進化・第2期」〜「進化・第3期」にとどまっている企業が、今日でも案外たくさんあることに驚かされます。そして、そういう企業に限って「最近、何を作っても売れなくなってしまった」とグチをこぼしているのです。
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  • 化粧品、調味料、薬品、ハウスメーカーなど、多くの成功企業は、第3期の「マーケティング戦略」を用いていることも事実です。さらに、世界を相手にビジネスを展開しているような企業は「第4期」の戦略を用いています。例えば「トヨタ」は、第4期の経営戦略を用いていることが見てとれます。
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  • 繰り返しますが、これらの概念は「50年前」に既に一般に公開された「経営戦略」なのです。現在、自分のいる会社が「どの段階のビジネスを展開しているのか」を把握し、反省していれば、いくつかの問題点を発見し反省し対策を講じることも案外カンタンなのかもしれません。
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  • 現在、世界的な観点から日本を見ると、日本のマーケットは「第3期〜第4期の経営」をして当たり前と見られている時代になっています。この時代に特有のマーケティング(要求に応える概念)戦略の諸問題を解決するために、いろいろな「考え方」が試され、また実績を上げています。その「原形となる考え方」を、ここで紹介しておきたいと思います。
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(3)「マーケティングの革新」

30年前の「経営の教科書」たち

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  • 1980年代の「経営の教科書」と言われた、世界的ベストセラーが3冊あります。
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  • 「第三の波」・・・・・・・・・著/アルビン・トフラー
  • 「メガ・トレンド」・・・・・・著/ジョン・ネイスビッツ
  • 「マーケティングの革新」・・・著/セオドア・レビット
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  • 中小企業の社長は、アルビン・トフラーを読め。理科系で「研究所」などに配属される人間は、ジョン・ネイスビッツを読め。大企業に勤める人間は文系も理系も「セオドア・レビット」を読め。社長になりたくば「3冊とも読め」といわれた20世紀のビジネスの反省から見た、21世紀ビジネスの「予測理論」が書かれたもので、これら3冊は、いまだに「経営のテキスト」と呼ばれているほどのものです。
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  • 実践経済学や実践経営学を専門で教えていらっしゃる大学教授やコンサルタントであれば、この3冊は必ず読んでいらっしゃると言われるほどの有名な実学書です。
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  • 奇しくも、この3冊目の「マーケティングの革新」を書いた「セオドア・レビット」こそ前項で紹介した「ホットケーキ・ミックス」の「ビルスベリー社」のCEOであった方です。この著書の中で「レビット氏」は「商品」というものに対して、このように考えていました。
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  • 「企業努力の目的は、人々が競争社会のものよりも、自社の製品やサービスを買いたいと欲するように【満足価値群】を提供することにある。」
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  • このような考え方は、競合する商品相互の間で類似性が増して行くに従って重要になってくる。その例として彼は「W・R・グレース&Cо.」の実例を紹介しています。同社は商品とは直接には関係のない10種類のサービスを提供することを広告で発表しました。そして、こうまとめています。
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  • 「いくつかのブーム的な成功を収めた企業の秘訣を分析すると、商品はそれほどユニークなものではないが、商品の周りに配備した【非製品的利便の総体】が実にユニークであることがわかるのである。
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  • したがって、W・R・グレース&Cо.の成功もまた、その顧客に提供する【満足価値の総合体】に負うのであって、商品はその一部にすぎない。もし競合企業が、その価値をある程度引き下げてきても、販売高を現象させることはできないであろう。現在、成功を収めている企業は【満足価値の総体】という意味で創語意企業とはまったく違った商品を提供しているからである。」
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  • 同じく「C・レビット氏」は、成功を収めた「インターナショナル・ミネラル&ケミカル社」という肥料メーカーの実例も紹介しています。
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  • 同社の肥料を販売するにあたって提供した「非製品的利便の総体」は次のような広範囲の問題に対する「コンサルティング業務」と「プロデュース業務」だったと示しています。このメーカーの「お客さん」は各地にある肥料販売ディーラーだったのです。
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  • a「各地における肥料販売予測」
  • b「ブランド支援としての信用提供、代金回収のフォロー」
  • c「セールスマンの雇用支援、訓練、モチベーションの向上」
  • d「給与に関する標準化・評価基準の策定」
  • e「ディーラーとしての販売トレーニング」
  • f「効果的な配達経路の確保・運送費用の調整」
  • g「運送中の破損品に対する保証など」
  • h「広告支援と販売促進支援」
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  • インターナショナル社では、このような問題を処理する「コンサルティング組織」を構築し、ハンドブック(マニュアル=基準書)を作りディーラーを支援したのです。
  • レビット氏は、このようなサービスを含めた非製品的利益も含め「エンドユーザーに満足感を与える総てがひとつに融合したものを「商品」と考えていたのです。(詳しくは、第12章の(5)にて、再度申し述べたいと思います。)
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(4)「パッカード」という高級車

私が生まれた「1958年の著書」から

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  • 1958年といえば、私が生まれた年でもあります。この年に「隠れた説得者」という著書が、アメリカの最高級車を作っていたパッカード社のCEOによって書かれました。ブランド自体が消滅してしまった後に、この著書を「経営者の反省」という意義も込められて出版されています。50年も経ってしまっていますから、この自動車を見た事も聞いた事もない人も大勢いらっしゃるかもしれません。
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  • パッカードという「自動車ブランド」は、1899年にジェームズ・ウォード・パッカード(James Ward Packard )とウィリアム・ダウド・パッカード(William Doud Packard )兄弟、そしてジョージ・ルイス・ヴァイス(George Lewis Weis )によりオハイオ州ウォレンに「Ohio Automobile Company」が創業しました。
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  • 1902年10月2日社名を「Packard Motor Car Company」に変更した。1915年にはV型12気筒エンジンを搭載した乗用車を発売し、第二次世界大戦以前は世界を代表する高級車の1つとして、ロールス・ロイスやキャデラック、メルセデス・ベンツやダイムラーなどと並び、アメリカはもとより、日本国内でも皇室や華族、大富豪に愛用されたのです。
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  • 第二次世界大戦中にはイギリスの航空機用エンジンロールス・ロイス マーリンをライセンス生産していました。
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  • しかし、その後、ゼネラルモーターズのキャディラックや、フォード・モーターのリンカーンといった大企業の傘下にあった他のアメリカの高級車メーカーが、1950年代以降の好景気時に毎年のように新型を発表したことに対抗できなかったために、モデルの陳腐化が避けられず販売台数が低迷し、1958年にはスチュードベーカーと合併し、ブランドは消滅してしまったのです。
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  • さて、その「元CEO」の語る、成功戦略というものは次のようなものでした。裏返せば、これを継続できなかったからこそ、企業が腐敗してしまったとも反省の念を込めて語っているのです。
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  • 女性は、石鹸に対しては100円以上を払おうとはしないが、化粧品には何万円も払おうとする。どうして、このようなことが起こってしまうのだろうか? といった下りから始まる著書ですが、彼は結論をこうまとめています。
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  • 「ポマード(男性用整髪料)のメーカーは、ラノリン(製油)を販売しているのではない。彼らは【希望】を販売しているのだ。我々もまたオレンジを購入しているのではなく、新鮮な活力を購入しているのだ。同じように、我々もまた、自動車というものを販売していたのではない。我々が販売していたものは、まさに【特権階級のシンボル】であったのだ。」
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  • 商品に対する「このような戦略的考え方」は、今日では「多くの経営者」に広く信じられるようになってきました。多くの商品は「単なる物理的な機能」を提供しているのではなく「精神的な意味や感情」を提供しているのです。パッカード氏は、商品が売ろうとしている「精神的な意味や感情」を、半世紀も昔に次のようにリストアップしています。
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  • a「隠されている8つの要求」
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  •   ・「情緒の安定を提供する」
  •     ・・それを使うことによって安心できる。
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  •   ・「価値の保証を提供する」
  •     ・・それを使っていることで「誇り」を持てる。
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  •   ・「自己満足を提供する」
  •     ・・それを持っている自分は「偉い」と核心を持てる。
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  •   ・「創造の吐け口を提供する」
  •     ・・これがあれば才能を発揮できる。
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  •   ・「愛情の対象を提供する」
  •     ・・その有名人を好きだという証明になる。
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  •   ・「力量感を提供する」
  •     ・・力持ち=男らしさの証明になる。
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  •   ・「郷愁を提供する」
  •     ・・過去を懐かしむ心を提供する。
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  •   ・「不滅を提供する」
  •     ・・永遠の若さを得ている感覚を提供する。
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  • b「成功の欲望」を提供する
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  • c「好みのイメージ」を提供する
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  • d「セックス・アピール」を提供する
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  • これらは、不変の欲求「11項目」として「マーケティング」を専門とする「学者」や「コンサルタント」の間では「常識」となっているものです。極端な言い方をすれば「これらを知らずにコンサルタント」を名乗っている人にコンサルテイションをしてもらっても業績が上がる理由が見当たりませんし、これらを授業の中で教えていない「学者」の理論を用いても「業績が上がる」とはいえないのかもしれません。
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(5)「セールス・ポイント」という言葉

「セールス・ポイント」という言葉の語源

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  • 「セールス・ポイント」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは「日本語の造語」で、正しくは英語で「セイリング・ポイント」といいます。また「セールス・ポイント」という言葉の意味も曖昧で「セールス・ポイントをアピールしてください」といわれたら、つい、感覚的に「自慢話」をしてしまう傾向にあるようです。
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  • 実のところ、この「セールス・ポイント」という言葉の生みの親は、アメリカの経済学者である「ウィングゲート教授」です。教授の定義としては「セイリング・ポイントとは、商品の利用にあたって、その商品の価値が感じられるような特徴」となっているそうです。具体的には、次の8項目があげられています。
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  • a「適合性」
  •   その商品をどのような用途に用いるのか、要求に適合できるかどうか
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  • b「融通性」
  •   その商品は異なる時期に、または異なる目的に対しても活用できるかどうか
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  • c「耐久性」
  •   その商品は、どの程度長持ちするか
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  • d「快適性」
  •   例えば夏に衣服(商品)を身に着けた時、涼しく過ごせるかどうか
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  • e「難易度」
  •   活用が容易かどうかということ
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  • f「スタイル」
  •   似合っているかどうか
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  • g「価格性」
  •   価格が適切かどうか
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  • h「感情特性」
  •   例えば所有欲を充分に満たすことができるかどうか
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  • 「セールス・ポイント」という言葉は、商品を売込む角度がいくつもあることを整理して、さらにポイントを明確にしようとするものです。つまり「セールス・ポイント」は「商品の特徴」と同義語のように使われていますが、正確には「商品の機能的特徴」をリストアップするだけでなく、使い手であるエンドユーザーに立った「心理的メリット」を紹介するものとして作られた言葉だったのです。
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(6)「商品」には「人格」がある。

「商品」=「パーソナリティー表現」

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  • 心理学の研究者は「病床心理」を研究することが基本で、「購買心理」という特化した分野については未だ研究というものを進めていないそうです。結果的に「リサーチ会社」に勤める「経済学者」が「仮説」を立てる以外に道はないとされてきました。そういった研究者のレポートによると「商品はエンドユーザーの自我の表現に用いられている」ということが、やたら協調されているのです。
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  • つまり、商品は「物理的なもの」を通り越して「消費者の人格の一部」として存在している。というのです。
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  • 50年以上も昔に、女性の下着(ブラジャー)についての「イメージ調査」がアメリカで行われています。そのレポートによると「女性は、次の3つのサービス」を期待していると記されていました。
  • a「性的により魅力的になること」
  • b「お世辞を受けやすくなれること」
  • c「個性を表現することができること」
  • 個性は「パーソナリティ」という英単語で表現されていました。女性は「自分の特徴に合ったデザインのファッション(洋服)」を念入りに選ぶのですが、女性にとっては「洋服」は「身体の一部」だとまで考えられていることが、このレポートで明らかになっています。
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  • 「髪飾りや帽子」も「靴」も、「ドレス」も「スーツ」も、「その女性の心」「悩み」「幸福」などの表現であり、周りの人たちから、それらのコーディネイトによって「○○○のような女性」と見られることに特に敏感になっているのだそうです。
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  • 女性の「下着」が特徴的であるように、男性の場合は「自動車」に対する意識が非常に特徴的なものになっているというレポートもあります。
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  • 50年以上も昔に、このような調査を行ったのは、マーケティング・リサーチの権威「P・マルチーノ」氏です。自動車については、次のような購買動機をまとめていますが、これを確認すると【自動車というものが、エンドユーザーにとって、どういうものなのか】がハッキリしてくるのです。
  • a【一人前の大人になったことの証明】
  • b【生活領域の拡大の証明】
  • c【社会的能力を獲得したことの証明】
  • d【物理的に能率的な輸送を行える】
  • e【技術の発達を把握してることの知的証明】
  • f【社会への参加意識の証明】
  • g【社会的地位の誇示】
  • h【攻撃性の吐け口】
  • エンドユーザーは、これらの欲求の中で、個人的な「好みの強い部分」にウェイトをかけて商品を選び、その商品によって「個性」をきわだたせて誇示している。
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  • このレポートは、1960年頃のものですが、現在でも「男性の自動車に対する購買意識」は、ほとんど変っていないことを証明しているように感じます。ブラジャーも自動車も「性能が良い」という理由でエンドユーザーが購入しているわけではなく、「精神的、感覚的な機能とは別の価値」を求め、「個人の特徴を表現する手段」として、商品を購入していることがハッキリしてくるわけです。
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(7)「ポジショニング」という考え方

「本来のポジショニング戦略」

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  • アメリカの広告代理店で作られた「販売戦略」をご紹介しようと思いますが、その前に、日本の広告代理店とアメリカの広告代理店の違いを述べたいと思います。なぜなら、日本とアメリカでは、広告代理店の位置づけ自体が違っているからです。
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  • アメリカの広告代理店というのは、基本的に「雇い主」が1社となっています。さらに「売上向上の義務」がついてまわります。カンタンにいえば「コンサルタント」と「日本の広告代理店」を合わせたような業務を「雇い主の会社のアウトソーシング」という形で請け負っているのです。
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  • 逆の言い方をすると「日本の広告代理店」には「売上向上の義務」はありません。そこが大きく違っています。なので、次にご紹介する「ノウハウ」は、日本においては「コンサルタント」が行う業務と捉えたほうがわかりやすいかもしれません。
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  • さて、見出しの通り「ポジション」についての説明をしたいと思います。「ポジション」とは「位置」という意味です。つまり「ポジショニング」とは「位置づけ」という意味になります。「位置づけ」は何を対象にしても良いのですが、マーケティングの世界では「商品の位置づけ」ということになります。
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  • より正確にいえば「エンドユーザーにとっての、商品の【感覚的価値】の位置づけ」ということになるでしょう。日本の広告代理店も「ポジショニング」という形で提案をおこなっていますが「リスク」が無いうえに、「売上が上がらなかった時のペナルティ」を避けるように、その内容を変更しているという事実があります。
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  • コンサルティングを基本とする「アメリカの広告代理店」が「エンドユーザーにとっての、商品の【感覚的価値】の位置づけ」を行っているのに対し、日本の広告代理店が行っている「ポジショニング」は「競合商品に対する位置づけ」でしかありません。
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  • 似ているようですが「売れるか、売れないか」という問題を議論する場合、「最終購買者が誰なのか、どういう理由で購入するのか」という大問題を避けては通れないのです。競合商品との位置づけを調べてみたところで、そのカテゴリー自体が売れなければ、マーケティングの意味すら無いのです。
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  • さて、この「ポジショニング」という「マーケティング・リサーチ」の手法は、50年以上前に、アメリカの広告代理店「グレイ社」によって開発されたと言われています。その手法は、多くのアメリカの広告代理店に導入愉されました。実績を上げた「チラーグ&ケアンズ社」もまた、この手法を用いたのです。
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  • 「チラーグ&ケアンズ社」のCEOであった「シェバードソン」氏は、成功の実績と、その手法によって手に入れた「事実」を次のように述べています。
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  • 「新商品のポジショニング・・・・ シェリー・オン・ザ・ロックの画期的なキャンペーンは、雇い主が嗜好の変化に気付いたことからスタートしました。その販売促進の企画は最終的に【新製品】を産み出すことにつながっていきました。【ドライ・サック・シェリー】というお酒の販売は、シェリー全般の売れ行きもそうであるように、そもそもパッとしないものでした。
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  • 男性に「ジュースのような女性的なイメージ」を持たれていたからです。私たちは、この弱点をいかに克服すれば良いのかを考えました。この時、私たちは「古いと思われ、すたれかかっていた【オンザロック】というお酒の飲み方」がアメリカ人の好みとして人気を集めている実態を、バーに足を運んだことで知りえたのです。
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  • そこから、歴史をさかのぼり10年来の基礎資料を調べていくうちに、オンザロックの人気は「好きな飲み物を、氷の入っている旧式のグラスに注ぐ」という単純さのために、すたれかかっていると業界人に思い込まれてしまっていました。
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  • しかしながら、スコッチやラム酒の愛飲家の中で、急速なブームとして火がつき初めていることを「現場調査」で知りえたのです。そこで、私たちは「ドライ・サック・シェリー」も、オンザロックという飲み方で愉しんでいただく方法を提案することを決めました。
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  • この商品のターゲットである「お酒を飲む男性」に対して、「オンザロック」にすれば「シェリー独特の香り」を充分に感じながら、クラッシックなグラスが持っている「男性的なイメージ」を有利に活用できると判断したのです。
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  • さらに、お酒を冷やして愉しむという「新しい飲み方」もこの戦略の後押しになると考えたわけです。結果、この戦略はみごとに成功をおさめました。現在では、シェリーの総ての銘柄が、そろって「オンザロックで!」というキャンペーンをスタートしています。もちろん、ドライ・サック・シェリーが、このカテゴリーの牽引役になっています。」
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  • といった具合に「シェパードソン氏」は「ポジショニング戦略」の実例を語っています。そして、この戦略が「他社」にも「マネ」をされ、他社のシェリーもこの戦略で売れたところに「販売強化戦略」としての特徴や性格が出ているわけです。
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  • では、こういう「戦略」が日本に存在しなかったかというと、そうではありません。「かつて」は存在していたのです。
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  • 1967年に「宣伝会議・ユニークブックス」という出版社から「成功させる広告計画」という著書が出版されました。著者は「塩田達夫」氏・日本の広告代理店「大広」という会社に勤務されていた「マーケティング・マン」です。その著書に「ポジショニング」という考え方が登場してきます。
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  • 「市場が熟成し同種銅製品が数多くあふれてくるようになると、人々は製品の物理的特性を購買するというより、総合された満足を購入するようになる。この心理的満足こそ、生活を愉しむという環境において感情的な安定、精神的健康を保つために必要なものであるといえる。
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  • (中略)ここで本質的には同種である製品間の競合において、市場を動かす製品の新しい「何か」が必要となる。(中略)製品の他のものとは違って存在している「何か」をマーケティング環境に合致させてひとつの総合体として結合できる戦略に置き換え、差別化を図ることがポジショニングなのである。」
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  • この「広告代理店マーケッターの教科書」といわれる同書の文面を都合の良いように引用し、本来「エンドユーザーの感覚」を調査していた「ポジショニング」という手法が、「競合商品」という座標に置き換わっていってしまったようです。
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  • 繰り返しますが「ポジショニング」という手法は、「エンドユーザーの感覚的価値」を視覚に訴えることにより戦略を明確化するものです。競合商品との位置関係を調べたところで「販売強化策」が浮き彫りになってくることはないのです。
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(8)「差別化」戦略

「セグメンテーション」という戦略

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  • エンドユーザーは「商品を選ぶ」必要があります。なぜなら、いざ購入という段階になって「類似商品」が数多く並んでいるからです。もし、選びそこなって「悪い商品」を購入すると「損」をするわけですから、エンドユーザーは「意識的」に、また「無意識的」に「選ぶ」という行為に迫られてしまうのです。
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  • エンドユーザーの心の中には「損得」という「本能的な欲求」がありますから、もし「選択の目安」となるようなものが存在するならば、それが「おまけ的」なものであっても、しばしば「大ヒット」につながっていくこともあるのです。
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  • つまり「商品の差別化」は競争戦略の基本的なものとして、ずいぶん昔から注目されてきたものであり、商品企画はもちろんのこと、マーケティング戦略や、広告戦略、販売促進戦略の「性格」を形成する大きな要因になっているのです。
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  • 商品の「差別化」については、いくつかのパターンがあります。
  • a【機能的差別化】
  •   エンドユーザーの異質な欲求から生まれる差別化商品。
  • これは「商品差別化」の根本的なものです。大きいテレビが欲しい人もいますし、持ち運びができる「携帯電話」の「ワンセグ・テレビ」を欲しい人もいます。エンドユーザーのそういった欲求の違いに応じて「商品差別化」が生まれてきます。ただし、こういった機能の差別化は、他社にもすぐにマネされてしまいやすい性格も持ち合わせています。
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  • b【心理的差別化】
  •   戦略的差別化商品
  • 機能で差別化をしようとしても、すぐに競合商品が登場しマネをされてしまいます。類似化してしまうほど競争には振りになりますから、何とかして差別化を実現しようとする。これは、当たり前の心理かもしれません。そういう時に用いられる手法が「心理的差別化」です。差をつけることを目的に、あえて違った商品をつくるという戦略です。色々な機能を持った高性能の携帯電話が登場する一方で「難しい操作は必要ない」とする「ラクらくフォン」などが登場しているのは、こういう理由があったからです。
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  • c【技術による差別化】
  • 技術がすぐれていることによって商品に差をつけることこそ本来の「競争」です。しかし、技術水準が高まり、高水準で平均化した現在、エンドユーザーにわかりやすく理解できるような圧倒的な技術上の差を持つことは非常に珍しいことになってしまいました。逆にいえば、優れた技術力によって産み出された差別化された商品であれば、戦略価値は極めて高いものとなります。携帯電話の「I-Phone」などの大ヒットが好例となるでしょう。
  • 商品の差別化は、商品の細分化を引き起こし、種類を増やしていくことにつながります。つまり、逆に見れば「特殊なマーケット」を狙うということになって「セグメンテーション(市場分割)」というマーケティング戦略を用いる必要がでてくるわけです。結局のところ「商品の差別化」というものは「商品戦略」であって、それに対応した「マーケティング戦略」こそが「セグメンテーション」ということになるのです。
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(9)広告表現の制作者

コピーライター(広告表現作家)が目指したもの

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  • 1966年3月25日に誠文堂新光社から出版された1冊の、貴重な本があります。こんな古い本を持ち合わせていらっしゃる方は、ほとんどいらっしゃらないことでしょう。この本は、当時の「広告大国アメリカ」を象徴する5名のコピーライターの「制作哲学」をインタビュー形式で書き記してあるものです。
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  • 著者が「東京コピーライターズ・クラブ」となっているのが非常に興味深く思います。この時代を経て「糸井重里」さんのような素晴らしいクリエイターが日本に生まれた経緯があるのです。
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  • 大きな会社の「広告関係」に携わっている人であれば「DDB」という会社名を聞いたことがあると思います。フォルクス・ワーゲンのアメリカにおける広告を手がけて50年の実績を誇っています。世界的にも有名な「名作」を産み出し続けていることで知られている「広告代理店」です。
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  • これらの名作は「偶然」生まれてきたものではなく、独特の考え方や思想、哲学を背景に生まれてきていることがこの本に紹介されています。DDBのCEOであった「バーンバック」氏のインタビュー記事の中から、要点をカンタンに抜粋して紹介してみたいと思います。
  • 「広告を作るうえでの成功で、もっとも重要な要素は、商品そのものだということです。私は、これまでこの事実を充分に伝えるチャンスに恵まれていなかったようにも思います。優れた広告キャンペーンを行うと、悪い商品をより早く失墜させてしまうものです。なぜなら、広く伝えるほど人々はその商品が悪いということをドンドン知ることになるからです。
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  • 重要なことは、私たちが代理店として、広告主といっしに、その商品を良くしようと改善点を探し、エンドユーザーに欲しいという気持を起こさせるような方法を探し、商品に付け加えるものや変化させるべきものを探しているという仕事のしかたにあると思います。
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  • 結局は、商品そのものが大切だからです。なぜなら、あなたが経営者であったとき「それだけ素晴らしい商品」を持ち合わせていれば、より多くの人たちに「他では買うことのできないもの」を提供できると言いたくなるはずです。
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  • そうやって「優れた商品」に対して、その利点を伝えるうえで非常に効率的な方法を用いることができれば、あなたは競争に勝利することができるはずです。あなたが凄腕の敏腕コピーライターであったとしても、商品に素晴らしい特徴がない限り、存在しないものを表現することはできません。
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  • まちがって、存在しないものを表現してしまった場合、エンドユーザーは「期待を裏切られた」と感じ、クレームを言い始め、噂が噂を呼び、結局、その「ウソをついた表現をした商品」は、この世から消えてしまうことになります。
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  • ですから、私たちは広告のうえで「手品のようなウソ」を伝える方法を使うようなことはしないのです。もし、魔法があるとすれば、それは「商品の中」に存在するのです。」
  • 彼らの「クリエイティブ」における「力点」は、明らかに「商品利点の感情的、明確化」に置かれているといえるでしょう。彼らが関わった広告の特徴というか利点というか・・それは「他の商品が持っていないものを表現している」ということも、実に興味深いのです。
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  • もし「利点」がないのであれば、商品を改良してでも「利点」を創り出そうとしている様子が見てとれるから面白いのです。日本の広告代理店の場合「コンサルティング業務」は、その業務の中に入っていませんから、日本では「広告表現にも詳しい、コンサルタント」が行う業務となるのでしょう。
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  • 彼らの成功の背景には、原理的には「商品差別化」というシンプルな考え方があるにすぎません。しかし、バーンバック氏は、それを「徹底して求め、徹底してわかりやすい広告の表現として用いたことによって成功をおさめ続けていた。」という実績があるのです。
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  • 言い換えるならば、「商品に対する考え方」が、創造哲学と一体化し、さらに高度の表現能力と結びついたとでもいうのでしょうか。これは「マーケティング・ブレーン」としてアウトソーシングされた「アメリカの広告代理店」ならではの動きだったと言えるのかもしれません。もし、日本でそれが実現できるならば「コンサルタント」以外には考えられません。
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  • かつて、電通でコピーライターをしていた、私の師である「伊吹 卓」も広告マンを辞めて、コンサルタントに位置を変えています。私もまた、一世を風靡した「広告百貨店」といわれた企業の「企画部」を辞め、広告代理店の手伝いを少しした後、日本における広告代理店の業務の限界を感じ、コンサルタントとして活動を始めました。
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  • 師である「伊吹」も私も、単に「アメリカ型の広告代理店」に存在し、「日本の広告代理店」には存在しない「業務」を「コンサルタント」という立場で実行しているだけなのかもしれません。 
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(10)デモンストレーション商品
    と サイレント商品

「特徴」を主張することこそ商品戦略である

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  • もう1人、1940年〜1970年ごろまでアメリカで大活躍した「コピーライター」がいらっしゃいます。アメリカの広告代理店「テッド・ベーツ社」で、最終的には会長にまでなった「ロサー・リーブス氏」です。
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  • テッド・ベーツ社の1960年頃の取引先といえば、コルゲート歯磨、パーモリブ石鹸、洗剤ファブ、フィルター付たばこバイスロイ、食品のワンダー・ブレッド、便秘薬リトル・リバー・ピルスなど、典型的な消費材で、90%が食品・薬品・石鹸などでした。しかも、アメリカ有数の有名企業ばかりです。
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  • さらに、彼らが用いた【USP理論】は、1940年代の初期にデッド・ベーツ社がつくりだしたもので、広告についてのこの考え方は、「同代理店の取扱い高を、当時の4,000,000ドルから、一挙に150,000,000ドルまでに引きあげたばかりでなく、その間一つのクライアントも失うことなく、おまけに広告主に劇的な、時には空前絶後の売上げさえももたらした」とりリーブスはいっています。
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  • この【USP(Unique Selling Proposition)理論】は、彼の著書である「宣伝術」、「科学的広告法」にも登場しますが、いまだに、これを凌ぐ「基礎的なマーケティング・ベースの成功クリエイティブ哲学(手法)」は世の中に登場していないようにも思えます。彼の著書から、要点を抜粋すると次のようになります。
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  • 「確かに、非常に多くの商品が、どれも似かよっているというのは事実である。しかしながら、石鹸、洗剤、インスタント食品、ビール、シェービング・クリーム、パン、歯磨き、シャンプーといったような、たがいに凌ぎを削り合っている「パッケージ商品」の分野においてさえ、一見、同じように見えているだけなのだ。
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  • テストをして、一見、同じようにしか見えないそれぞれの商品の間に、どれだけ多くの「本質的差違」があるのか、それぞれの分野の専門科の研究を持寄れば、その「差違」の大きさに目を見張るばかりだ。それは、各商品間だけの話ではなく、改良前の商品と、改良後の商品の「必要使用量」などでの差違も大きいのである。
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  • 我が社には、取引先に、歯磨き、石鹸、洗剤、薬品などのメーカーがあるので、それぞれの分野の専門家をブレーンとしている。例えば、4人の医師からなるブレーン・チームがある。こういうブレーンは、現在198人で、間もなく200人を超えることだろう。広告表現を制作する時は、必要なブレーンを社に招き、彼らと激論を交わすわけである。」
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  • デット・ベーツ社では、商品を深く分析し研究しつくすことで「製品の価値を正確に発見」していました。これは、実に大きな教訓だといえます。この「哲学」に基づいた「制作の考え方」は、現代においても、特にパッケージ商品に役立っています。パッケージ商品を専門に扱って、見事な業績を収め続けてきた「デット・ベーツ社」の【創造哲学(USP理論)】や、広告作品が、この「科学的分析」を土台にして成り立っていることを見逃してはならないのです。
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  • ここには、現代における商品に対する「典型的なモデル」が隠されています。USP理論から見た商品の考え方を、リーブス氏は、次のように3つに区分しています。
  • a「ユニークな特徴がある商品」
  • b「特徴はあるが、競合商品と似かよっている、
  •   または、エンドユーザーには同じにしか見えない商品」
  • c「まったく、特徴が見出せない商品」
  • 商品を見る「見かた」は、たくさんありますが、商品をこの「3つのパターン」に区分しておくことは、極めて大切なことだろうと考えられます。どのパターンに当てはめて考えるかによって、マーケティング戦略が根本的に変ってくるからです。
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  • 「a」の「ユニークな特徴」がある場合には、表現手法的にも、マーケティング戦略においても大きな問題は浮上してきません。問題になるのは「b」と「c」の場合なのです。
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  • 「b」の場合には、特徴が目立つように工夫する必要がでてきます。もし「違いを感じることができない」とエンドユーザーが感想を持ってしまうのであれば、どう転んでも「まったく特徴のない商品」として市場に出回ることにしかならないからです。カンタンに表現するならば「デモンストレーションできない商品は売れない」といっているわけです。
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  • また「c」のパターンの商品を「サイレント・プロダクト(自己主張できない商品)」と呼んだ人もいます。このパターンの商品のように、全く商品に特徴がない時、つまり「サイレント商品」の場合、次の2つのことが大切であると「リーブス氏」は言っています。
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  • 第1は、商品の改良を考えること。
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  • 第2は、商品改良もできない場合。こういう時は「ユニークな商品に見せかける工夫」をする以外に方法は残っていない。その方法としては、パッケージ・デザインを改良するか、商品デザインを工夫するか、広告などによって、優れた「ブランド・イメージ」を作り出すなど、いくつもの方法を組み合わせるしかない。
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  • 彼は「思いつき」や「ひらめき」などで広告を作ったわけではなかったのです。彼が行ったのは「完全なる差別化」であり、徹底した研究による「科学的な特徴の明確化」でしかなかったわけです。
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(11)あれも、これも、どれも、という戦略

「マジソン街の女王」になった女性クリエイター

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  • 「メリー・ウェルズ女史」は、女性にして、アメリカの広告代理店「ウェルズ・リッチ・グリーン社」の役員でした。この会社の広告主であるブラニフ航空(英語: Braniff International Airways)は、1928年から1982年まで営業していたアメリカの航空会社です。
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  • 1960年代半ばから1970年代半ばにかけて、大胆なコーポレート・アイデンティティ(CI)で脚光を浴びました。アメリカ国内外における競争が激化する中、1965年にはコンチネンタル航空の副社長であったハーディング・L・ローレンスを招きます。
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  • ローレンスは、他社との差別化を打ち出すべく、広告代理店「ウェルズ・リッチ・グリーン社」の役員であったメアリー・ウェルズを広告担当重役に招き、中規模広告代理店であるジャック・ティンカー&パートナーズをパートナーに、ウェルズの知人であった著名なイタリア人デザイナーのエミリオ・プッチとアレキサンダー・ジラルドとともに「"The End of the Plain Plane"(退屈な飛行機の終焉)」キャンペーンを企画します。
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  • 手始めに、これまでの他社と比べて代わり映えのしない塗装を、「ジェリー・ビーンズ・フリート」をテーマに、ベージュ、黄土色、オレンジ、ターコイズ、ベビーブルー、ミディアムブルー、レモンイエローとラベンダーの各色に塗りわけ、合計15種の塗装を自社機材に施したのです。
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  • この塗装の導入に併せて、エミリオ・プッチがデザインした客室乗務員の制服を導入する。その後、機内や空港のカウンター、本社オフィス「ブラニフ・ワールドヘッドクオーター」内も同じコンセプトを元に塗り別けられたのでした。
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  • 1968年12月発売の雑誌「Fourtune」に、次のような記事が掲載されました。
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  • 「ブラニフ航空の広告は次のようにして生まれた。・・・・・・・ まず飛行機の機体を、イースターの卵よろしく、色々なパステルカラーに塗り上げる。スチュワーデスにも、同じく色とりどりのドレスを着せ、機内のアトラクションとして「空中ストリップ」をやる。
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  • これは飛行機が高度を変えるくらいの勢いで、頻繁に、スチュワーデスに衣装を着替えさせることである。フラニフ航空のCEO「ローレンス」社長は、ちょっと神経質ながら、度胸のある男だったので、この大胆なアイデアを採用した。その結果、知名度の低かったブラニフ航空の名は一夜にして、天下にとどろき、みんながきそって乗りたがるようになったのである。」
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  • さらに、驚いたことに、ウェルズ女史は広告主だった「ローレンス社長」と結婚をして「マジソン街の女王」とまで呼ばれるようになったのです。
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  • そのことは「フラニフ航空に対してウェルズ女史は、17,453ヶ所に及ぶ改良点を指示したそうである。」と「アートは広告代理店」という著書に紹介されています。
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  • ウェルズ女史は、さらにブラニフ航空に新しい提案をしました。それは「空港ターミナル改善案」だったそうです。ウェルズ女史は「この世の中で最低の時間は、空港で飛行機をまっている時です」と語ったそうですが、それは後に「飛行機の到着が遅れた時は、1ドル差し上げます」というアイデアの広告に進化したのです。
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  • ウェルズ女史の考えていることは「DDBのバーンバック氏」とは絶妙な対象を示していると言えるでしょう。ウェルズ女史は、そういう理由で「DDBの時代は終った」と豪語しているのです。彼女は「DDBのように、良い製品だけを扱っていれば失敗がないのは当然のこと」と言ってのけたのです。
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  • ウェルズ女史が扱う商品は、普通の商品でした。普通の製品を「自分のアイデア」で売れるようにしてみせる、というのが彼女の持論だったのだそうだと、この本の中で紹介されています。
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  • 一見、DDBのバーンバック氏とは、対照的に見えてしまう「ウェルズ女史」の発言も、よくよく考えてみると、彼女が行ったのは「アピールする特徴がない商品」に対して、飛行機という大きな商品の「パッケージ・デザイン」を改良し、商品として「スチュワーデスの制服のデザイン」を工夫したうえで、広告表現によって「新しいブランド・イメージ」を創り出したに過ぎないといえば、それまでかもしれません。
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  • 単純に、彼女は「DDBのバーンバック氏」が引き受けなかった「特徴の無い商品」の大きな改良を得意としていたに過ぎないわけです。注意していただきたいことは、こういう「イメージ戦略」が、40年前に「成功していた」という事実です。
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  • これを「CI(コーポレート・アイデンティフィケイション)戦略」といいますが、「CI戦略」とは、単純に会社のマークを一心することではないのです。そこには「サービスの向上」や「エンターテイメント的な話題性の向上」など、「別会社への変革」といえる「社内変革」が隠れていることを見逃してはならないのです。
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(12)世界三大広告王「デイヴィッド・オグルビー」

ブランディング広告という概念

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  • 1999年に他界した「世界三大広告王」「デイヴィッド・オグルビー氏」、この人の名前を知っている人は、会社に勤めている人ならば、一般的に「課長以上」の役職についている年代だろうと思います。ご覧のポスターは50年も昔に登場した「ブランド・イメージ広告」の始まりと言われている名作ポスターです。
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  • このポスターの広告主は、小さなシャツメーカー「ハサウェイシャツ」でした。この「アイパッチをした紳士」を広告主であるメーカーのイメージに仕立て上げた「天才・クリエイティブ・ディレクター」であったと言われています。
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  • モデルは、ロシア貴族出身のジョージ・ランゲル男爵。異様に目立つスライルと子旧姓。ハサウェイシャツの広告は、伝統的な名作といわれています。
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  • 1964年に「ある広告人の告白」という著書を出版しました。この写真は原書の写真ですが、この本は世界中で翻訳され、合計100万部以上も出版されています。40年以上前に書かれた著書ですが、いまだに「広告クリエイターのバイブル」として確固たる地位を確立しています。あまりにも多くの方々からの復刻要望があったため、2006年に日本でも「新版」が改めて発売されました。
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  • 「時速60マイルで走行中の新型ロールスロイスの室内で、最大の騒音源は電気時計です。」これはロールスロイスのキャンペーンでオグルビーが書いたキャッチコピーです。製品を正面に据えるオグルビーの手法を典型的に表しているといえるでしょう。
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  • 1970年代は、日本においても、この「ブランド・イメージ広告」の手法が、あちらこちらで用いられました。
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  • 日本でこの手法が持ち入れれた、その時代の代表的な作品の一例をあげるとすれば「PARCO」のジュリーのヌードポスターが、それにあたるだろうと思われます。この衝撃的なポスターは、テレビや雑誌などのメディアにも取り上げられ、広告費の何十倍もの「成果」をおさめたと言われています。
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  • つまり、オグルビー氏の「広告制作手法」は「真理」であるわけです。同じような戦略で近年爆発的な人気を得たのが「羞恥心」という歌をベースにした「タレント・ユニットの登場」に代表されるのかもしれません。
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  • オグルビー氏は、著書の中でこのように「広告制作哲学」を表現しています。
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  • 「市場におけるブランドの地位を決定するものは、ほとんど常に、製品のつまらぬ差違ではなく、ブランド全体の個性である。大切なのは、商品を高級品と感じさせることだ。友人から、低級品を使っているとは誰も思われたくはないものだ。社会的地位に対する人間の欲求が決定的な要因となるものだ。」
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  • 「1930年代は、そこらじゅうが不景気にあえいでいた。そこで商品を売るコツは、安いと思わせることだった。このことが多くのブランドに「安物」というイメージを与えてしまった。だからこそ、不景気を乗り越え経済が成長傾向にある現在(1960年代)でも、我々に援助を求めるブランドは「安物」を売ろうとする傾向にあるのだ。」
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  • オグルビー氏は「イメージから見た【商品観】」というものを、最も早い時期から活用し「ブランド・イメージ訴求型広告」というジャンルで最初の華々しい成功をおさめた人物なのです。21世紀の現在でも、広告の多くは「オグルビー氏」がひいたレールの上を歩んでいるに過ぎないのかもしれません。
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  • 業界で特に注目され続けている「JRグループ」が展開している「そうだ。京都、行こう。」のテレビCMや、ポスター展開。そして、1988年から数年にわたって年末に放送されていた山下達郎氏のBGMが流れる「クリスマス・エクスプレスのCM」も、再春館製薬の「ドモホルン・リンクル」のCMなども「オグルビー氏」のひいたレールの上にあるものと考えられます。
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  • これらは総て、オグルピー氏の説いた「ブランドのイメージを向上させていく広告、広報などとを含めた、あらゆるサービスの情報提供」という形をとっています。このような「エンドユーザーの喜びのために行っているトータルな活動をもってした情報発信戦略」こそが「心理的差別化=ブランディングの神髄」であるといえるのでしょう。
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  • ここで、最後に書き添えておかなければならないことがありそうです。「オグルビー氏」は、1000年に一度登場するかどうかの「天才」という言葉を欲しいままにしたほどの「天才コピーライター」でした。とはいえ「社会観」というものが欠落していたことも一方では有名な話なのです。
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  • たとえば、掃除や洗濯、料理などは、まったくもってできない。そればかりか、会社の経理や総務といった業務もまったくできなかったのです。会社における「一般業務」は、総て弟さんが切り盛りしていました。会社の設立資金、電話対応、事務所の手配、文房具の手配、経理業務などは、恋女房役の弟さんが総てこなしているのです。
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  • さらに、この弟さんは「過労」のため、早くに命を落としていらっしゃるといいいます。その翌年、オグルビー氏の会社は、他社と合併しています。つまり、制作業務以外には、何ひとつできなかったとう反面もそこに存在していたのです。
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  • 彼は引退後、こういう言葉を漏らしています。「私の名前ばかりが有名になってしまったが、オグルビーという広告制作者は、弟と私の2人で成立っていたのだ。」そういった「隠された事情」を知らなければ「広告の制作という仕事が単なる思いつきやアイデアでできる」と勘違いする人もいらっしゃるかもしれません。
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(13)「流行」という「購買動機」

「消費」があって、経済が成り立っている。

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  • かつて、流行=ファッションという言葉は、本来「女性衣料」を中心に使われていた言葉でした。「流行」という観点から見る「商品」は、「ソフト・グッツ」と呼ばれ、特別の考え方をしようとする傾向がありました。ところが「流行」は「ソフト・グッツ」といわれるカテゴリーの枠を越えて、あらゆる商品カテゴリーへと普及されています。
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  • これが今日の「ニーズの把握」を複雑にしている根源となっていますし、また、これこそが今日の「マーケティングの特徴」となっているのです。チェイスキン氏は、50年も前に、このように述べていたといいます。
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  • 「どんな産業も、婦人服産業をマネしようとしている。これが今日(50年前のアメリカ)のマーケティングを知るカギなのだ。」(「消費を作り出す人々」著/パッカード より)
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  • 流行とは、いったいどういう物なのでしょうか。女性が新しい服を買いたい時の口実は、常に「私が持っている服は、どれも流行遅れだ」といいたがるものです。
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  • この考え方を本格的に活用した「大産業」は、自動車産業だといわれています。70年も昔に、ゼネラル・モータースは、競争は値段よりも「スタイル」で行われるべきだ、ということを実行して、自動車業界の覇権を独占企業とまでいわれたフォードから奪い取っています。
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  • これと、全く同じことが日本でも起こっています。1967年、日本の「マツダ」が「ロータリー・エンジン」のスーパー・スポーツカー「コスモ・スポーツ」を発売しました。日本自動車ショーに初出品されたのが1961年。その6年後に注目を浴びた同車は、脚光を浴びて発売されています。
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  • 価格は148万円で、同じような性格の車で比較すると、フェアレディ2000の88万円、スカイライン2000GT-Bの94万円と比べるとはるかに高価でしたが「2人乗りの高級グランド・ツーリング・スポーツ・カー」として脚光を浴びたのです。
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  • さて、話を50年前の「最初の大事件」に戻しましょう。こういう「マーケティングの原点」以上に、近未来の「マーケティング戦略」を産み出すヒントを考えるうえで、参考になる「逸話」は存在しないのです。何より「原点」を把握しておかなければ、その後の「複雑な動き」を把握することはできなくなります。
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  • このゼネラル・モータースの成功は、その後、デトロイトの全自動車メーカーを、愛車のファッション化レースに参加させることになってしまいました。結果、1年ごとに「モデル・チェンジ」をして、いくつかの個性的なデザインの中から愛用者を選ばせるという、女性ファッション以上の「流行」を50年も前に実現していたのです。
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  • パッカードによると、あるディーラーは「アメリカの自動車は、女性の流行品となってしまったといっている。ある広告マンは「今、自動車は何で売れているというのですか。それはスタイルだけです。」と語ったと、50年以上も前に語っています。
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  • こうして、自動車の広告も50年以上前におこなっていた「性能の訴求」「機能の訴求」「運搬の機械としての目的」とは全く違う「デザイン中心」と50年前に変貌していったのです。
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  • 「1960年になると、アメリカの自動車所有者は、彼らの古い自動車を、平均2年3ヶ月で新しい車に取り換えるようになった。」と当時、パッカード氏はいっています。
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  • 同じ考え方で、当時のアメリカの住宅メーカーが動き出しました。「組み立て式で、全部でも、一部でも、新しいモデルと買い替えることができる夢の住宅を目指す企業」という企業広告が登場したのも「その頃」だったのです。
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  • このように「流行」というものを、あらゆる商品に拡大する努力のほかに「流行の短縮化」も50年前のこの事件をきっかけに進んでいきました。
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  • たとえば、化粧品にその傾向が最初に出てきました。当時、世界第一の化粧品ブランドと覇権をふるった「レブロン」が成功した秘訣は「爪のエナメルの流行に、6ヶ月ごとに違ったスタイルを使うように広く宣伝した」ことが、女性のファッション・サイクルのスタートだと言われています。
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  • レブロン氏は、著書でこのように語っています。「6ヶ月ごとにレブロンが発表したエナメルの色合いは、半年前に発表したカラーを完全に廃物にする戦略でした。たとえば、ハデな色のエナメルを発表した半年後には、目立たない色のエナメルに置き換えるように。」
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  • 50年が経ってしまった現在、日本の系商品業界においても「この方法」は採用されています。毎年違ったタイプの広告キャンペーンを、3月に「春色」、9月に「秋色」といった形で行っているのです。
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  • こういった考え方は、商品についての考え方を根本的に変えることにつながっていきます。商品はまだ仕えても、心理的に仕えなくなってしまうので、機能よりも「デザイン」のほうが重要になってしまったのです。
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  • こうして、「マーケティング戦略」も根本的に「ファッション戦略化」して、それが「競争戦略の中心」となっていったのです。このような商品は「広告戦略、クリエイティビティ」にも重大な影響を与えるようになっていきました。
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  • 50年も前から、今日の日本の化粧品業界がやっているように「新しいファッション・テーマ」を、毎年創造していかなければならなくなってしまっていたのです。この「劇的な事件」が、いつ、起こったのか、どのように「エンドユーザーのニーズ」と関わっているのか、ということを理解せずして「売れる商品」というものは、登場しなくなってしまっているのです。
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(14)「商品販売強化策」の全貌

「その商品の意義」を強くPRすること

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  • ここまで述べてきた「いくつもの考え方」と歴史的な「大事件」としての実例は「長期的に見たマクロ的なもの」だといえるでしょう。150〜50年前でさえ、ビルスベリー社では4回も考え方、取り組み方を変えていったといいます。
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  • このような「長期的に見た、マクロ的な考え方」は、歴史的な「大きな変化を生み出す大事件」によって生じる「大きな問題を解決する考えかた」なのです。例えば「自動社の発明」も、「電話の発明」も、「電灯の発明」も、「飛行機の発明」も、歴史的な大事件です。「原子爆弾」や、「携帯電話」といったものもまた「歴史的な大事件」を引き起こす「経済的な大事件」であり「大発明」だったのだろうと思います。
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  • つまり「長期的なマクロ的考え方」というのは、一度「大発明」による「大事件」が起こってしまうと、長期にわたって活用され続ける傾向にあるのです。
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  • ところが【現実のマーケティング】においては、もっと「短期的でミクロ的な変化」が、刻一刻と、連続的に生まれています。つまり、「ミクロ的な問題」が常に背中合わせに存在しているわけです。
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  • 今日の「企業活動」は、「マクロにミクロを掛け合わせた複雑な状況」を見極めた「トータルな視点でのマーケティング」を余儀なくされています。商品カテゴリーの細分化も激しく、技術変化が急速なため、発生してくる「ミクロ的な問題」も、実に多彩を極めています。
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  • こういった問題をすべて解決してこそ「トータル・マーケティング」の効果があり、また、すべてを解決して、やっと「売れる状況」というものを手中に収めることができるわけです。つまり「ミクロ的な問題」を解決するために「数多くのミクロ的・商品概念」が必要になってくるわけです。
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  • マーケティングにおける「歴史的大先輩たち」は、新しい問題に直面するたえびに「商品の生態」を詳しく観察し、さらに「社会的背景」を充分に観察し「新しい問題解決法」を発見し、実行してきたのです。
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  • こういった成功は、ひとつずつ記録され「商品の意義」「商品の概念」「商品の性格を示す言葉」として定着してきました。その基本的なものを集めただけでも「10項目・52種」に及びます。ここでは、まず、その「代表的な概念要因の全貌」をリストアップしながら紹介していきたいと思います。
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  • 【商品の感覚的意義・商品に対する心理的概念】=【商品概念要因】
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  • 1)伝統的な「商品概念要因」
  •   a)「ファッション商品」(ソフト商品)
  •   b)「機能改善商品」(ハード商品)
  •   c)「パッケージ商品」
  •   d)「サービス的商品」
  •   e)「産業用商品」
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  • 2)ライフサイクルから見た「商品概念要因」
  •   a)「導入期の商品」
  •   b)「成長期の商品」
  •   c)「成熟期の商品」(細分化)
  •   d)「成熟期の商品」(改良型)
  •   e)「リニューアル商品」
  •   f)「新商品」
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  • 3)「ブランド観」から見た「商品概念要因」
  •   a)「アイテム・ブランド商品」
  •   b)「銘柄・ブランド商品」
  •   c)「企業・ブランド商品」
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  • 4)「購買心理」から見た「商品概念要因」
  •   a)「プレステージ商品」
  •   b)「成人商品」
  •   c)「ステイタス商品」
  •   d)「不安解決商品」
  •   e)「快楽満足商品」
  •   f)「機能改善商品」
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  • 5)セールス・プロモーションから見た「商品概念要因」
  •   a)「商品優先型商品」
  •   b)「広告優先型商品」
  •   c)「流通網中心型商品」
  •   d)「セールスマン中心型商品」
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  • 6)競合条件から見た「商品概念要因」
  •   a)「先発商品」
  •   b)「後発商品」
  •   c)「独占商品」
  •   d)「特化商品」
  •   e)「競合対立商品」
  •   f)「マス広告型商品」
  •   g)「マニア型商品」
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  • 7)デザイン要素から見た「商品概念要因」
  •   a)「製品デザイン重視商品」
  •   b)「パッケージ・デザイン重視商品」
  •   c)「ネーミング重視商品」
  •   d)「付加サービス重視商品」
  •   e)「アイデア商品」
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  • 8)購買場所から見た「商品概念要因」
  •   a)「コンビニエンス商品」
  •   b)「マーケット商品」
  •   c)「スペシャリティ商品」
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  • 9)情報メディアから見た「商品概念要因」
  •   a)「テレビ広告向き商品」
  •   b)「新聞広告向き商品」
  •   c)「雑誌広告向き商品」
  •   d)「折り込みチラシ向き商品」
  •   e)「ダイレクト・メール向き商品」
  •   f)「インターネット向き商品」
  •   g)「携帯メール向き商品」
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  • 10)独立した「商品概念要因」
  •   a)「パーソナリティ商品」
  •   b)「インスタント商品」
  •   c)「ブランド商品」
  •   d)「姉妹商品」
  •   e)「システム商品」
  •   f)「必需商品(普及商品)
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(15)「商品コンセプト」というもの

「概念要因」の組合せ=「商品コンセプト」

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  • 商品に対する考え方は、このようにたくさんあります。しかも、ここにとりあげた「商品概念要因」は、最も常識的なものにすぎません。さらに追求していけば際限なく出てくるわけです。
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  • 商品に対する「考え方」や「概念」というものは、このようにたくさんありますし、さらに、それを考える人の立場によって「主観の違い」が生じやすいものです。
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  • エンジニアであれば「商品の機能や技術」を重視してしまうのが当然でしょうし、セールスマンにとっては「販売感覚」から考えるのが当然でしょう。販売強化支援を行っている人であれば「メディア表現的感覚」で考えるでしょう。
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  • さらに「ターゲット」との「ジェネレーション・ギャップ」がある人、例えば、20代の女性に対する商品を開発している決裁者が「30代、40代、50代の男性」であれば、時代感覚、ファッション感覚のズレが生じるのは必然です。
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  • 企業活動というものは、チームワークを発揮させることが基本ですから、集団によって討議されて「最終的な形」が決定します。しかしながら、性格の違った多くの人によって「何十種類」もの考え方を巡って討議していたのでは「成果の上がらない決定事項」を産み出すことにしかなりません。
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  • そこで、私どものチームが提唱しているものが「商品コンセプトの確認」なのです。
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  • 「商品コンセプト」とは、これまでに述べてきた「項目ごと」に「52種類」の「商品概念要因」をチョイスして組合せ「今、売上を強化しようとしている商品」が、どのような「人格ならぬ【品格】」を持っているかを、関わる人すべてがハッキリ確認できるものです。
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  • 「メグミルク社(雪印 メグミルク・コミュニティー)」が販売している「牛乳」を例にとって、各項目ごとに「主賓概念要因」をチョイスすることで、どのような立場の人であっても把握できるように「商品コンセプト」を確定していくと、次のようになります。
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  • 【「メグミルク」の商品コンセプト】
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  • 1)伝統的な「商品概念要因」
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  •   a)「ファッション商品」(ソフト商品)
  •   b)「機能改善商品」(ハード商品)
  • c)「パッケージ商品」
  •   d)「サービス的商品」
  •   e)「産業用商品」
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  • 2)ライフサイクルから見た「商品概念要因」
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  •   a)「導入期の商品」
  •   b)「成長期の商品」
  • c)「成熟期の商品」(細分化)
  •   d)「成熟期の商品」(改良型)
  •   e)「リニューアル商品」
  •   f)「新商品」
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  • 3)「ブランド観」から見た「商品概念要因」
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  •   a)「アイテム・ブランド商品」
  •   b)「銘柄・ブランド商品」
  • c)「企業・ブランド商品」 .
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  • 4)「購買心理」から見た「商品概念要因」
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  •   a)「プレステージ商品」
  •   b)「成人商品」
  •   c)「ステイタス商品」
  • d)「不安解決商品」
  •   e)「快楽満足商品」
  •   f)「機能改善商品」 .
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  • 5)セールス・プロモーションから見た「商品概念要因」
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  • a)「商品優先型商品」
  •   b)「広告優先型商品」
  •   c)「流通網中心型商品」
  •   d)「セールスマン中心型商品」 .
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  • 6)競合条件から見た「商品概念要因」 
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  •   a)「先発商品」
  • b)「後発商品」
  •   c)「独占商品」
  •   d)「特化商品」
  •   e)「競合対立商品」
  •   f)「マス広告型商品」
  •   g)「マニア型商品」 .
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  • 7)デザイン要素から見た「商品概念要因」
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  •   a)「製品デザイン重視商品」
  • b)「パッケージ・デザイン重視商品」
  •   c)「ネーミング重視商品」
  •   d)「付加サービス重視商品」
  •   e)「アイデア商品」 .
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  • 8)購買場所から見た「商品概念要因」
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  •   a)「コンビニエンス商品」
  • b)「マーケット商品」
  •   c)「スペシャリティ商品」 .
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  • 9)情報メディアから見た「商品概念要因」
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  • a)「テレビ広告向き商品」
  •   b)「新聞広告向き商品」
  •   c)「雑誌広告向き商品」
  •   d)「折り込みチラシ向き商品」
  •   e)「ダイレクト・メール向き商品」
  •   f)「インターネット向き商品」
  •   g)「携帯メール向き商品」 .
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  • 10)独立した「商品概念要因」
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  • a)「パーソナリティ商品」
  •   b)「インスタント商品」
  •   c)「ブランド商品」
  •   d)「姉妹商品」
  •   e)「システム商品」
  •   f)「必需商品(普及商品)」
  • 今回は、文字の色を変えることで表現しました。さて、ここにあげた「メグミルク(牛乳)」の基本的な「商品コンセプト」は、あくまで「基本中の基本」といったものです。もし、不適当だと「会議」で申し出る人がいれば、全員で話し合いをして「条件の確定」を修正して「メグミルク」という商品とは「こういうものだ!」という見解を一致させておく必要があります。
  • この「項目ごとの要因」の担当の立場によって変るズレを埋めたうえで、さらに「どこを、どう強化するべきか」がハッキリすれば「売上強化策」は、明確になっていきますし、「誰が、どのように、何をすれば良いか」という戦術さえハッキリとしてくるのです。
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まず 売れる人を 育てる
それが 成功の秘訣



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