「売れてしまう理由」
2)「トコトン分けること」にこだわる
Chapter-11 「情報メディア」という角度
はじめに | |
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第1章 | |
第2章 | |
第3章 | |
第4章 | |
第5章 | |
第6章 | |
第7章 | |
第8章 | |
第9章 | |
第10章 | |
第11章 | |
第12章 | |
第13章 | |
まとめ |
(1)情報メディアという角度
情報化=価値創造という構図
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- 情報化時代、双方向情報共有化時代の現代において、メディア戦略は商品の販売強化には欠かせないものとなってきました。メディア戦略とひとくちにいっても色々なものがあります。そのメディアの性格、メディアの種類によって戦略はことごとく変ってくるのです。したがって、それぞれのメディアから見て、どのメディアにはどういう商品が適しているのか、という考え方も必要になってきます。
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- また、全てのメディアを活用するより、商品の性格にマッチしたメディアを選択するということも起こってくるのです。
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- a)「テレビ広告に適した商品カテゴリーは何か?」
- b)「新聞広告に適した商品カテゴリーは何か?」
- c)「雑誌広告に適した商品カテゴリーは何か?」
- d)「折り込みチラシに適した商品カテゴリーは何か?」
- e)「ダイレクト・メールに適した商品カテゴリーは何か?」
- f)「インターネットに適した商品カテゴリーは何か?」
- g)「携帯メールに適した商品カテゴリーは何か?」
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- メディア情報を制作する側の立場からいうと、メディア情報として情報を加工する際、その商品の特徴が出ない商品を作ることは実に非効率なこととなります。これはUSP理論における効果性といった意味合いで考えていただけると、さらによく理解できるのではないでしょうか。つまり、メディアの性格に合わせた商品をつくることが商品開発の時点で必要になるということです。
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- 言い方を変えれば、メディアで発信する情報に加工できないということは、「ユニークな特徴もなく、他の商品と代わり映えのしない商品」ということになります。これは、すなわち「エンドユーザーが購入する理由の見当たらない商品」ということにしかならないのです。商品は、メディアの発達によって少しずつ変ってきました。まず、その変化を振り返ってみたいと思います。
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- メディアによる商品の考え方の第一歩目の進化は「ラジオ」と「白黒テレビ」の時代に起こりました。ここで起きた最も大きな変化は「ネーミングの考え方」でした。メロディにのりやすい「ネーミング」、思わず歌ってしまう「ネーミング」が必要になりました。これが1950年=1965年ごろまでに起こったマーケティングにおける「商品の変化」です。
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- 1965年ごろから発達したカラーテレビの時代には、当時、発色の良くなかったカラー放送に対応した「発色の良い商品」を作るようになりました。そこからGMSの地方展開、地元ボランタリーチェーンに加盟するスーパーとのチラシ合戦が開始されます。印刷技術も進み、カラー印刷の女性誌の発達によりブランド戦略が激化します。
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- その後、高度経済成長の中、かつてアメリカ・ボルチモアの百貨店の「1事業」として成立していた「カタログ販売」が輸入され、「カタログ販売」という新しいチャネルが出来上がりました。さらに市場は熟成し、専門店が乱立するようになるとダイレクト・メールでの展開が激化し、名簿屋というものまで登場することになりました。
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- パーソナル・コンピューターの普及、国家戦略ともいえる「ネット通信網」の発達により「インターネット」が発達してくると、カタログ販売を、さらに細分化した「地元ならではの通信販売」というものが登場してきます。さらに、かつて「チラシ」で伝えていた「お買い得情報」は、携帯電話のメールなどで配信されるようになりました。
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- さらにいえば、会社案内のような印刷物まで「インターネットのホームページ化」という動きも高まりました。つまり「パンフレット」を印刷せずに、インターネットのホームページをカタログ変わりに活用するという市場が出来上がってしまったのです。このように、メディアの発達に伴って、広告として発信する情報もまたドンドン変っていきます。さらに商品についても、メディアの発達、さらに、メディアの特性にマッチした形で発達してきたのです。
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(2)テレビ広告に適した商品カテゴリー
展開方法は、時代が変わっても変らない。
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- 「テレビ広告」は、いうまでもなく視聴覚に訴求する強力なメディアであるといえます。しかも「視聴率」に一定の傾向があるので、どうしても「高視聴率の時間枠」が高価となり、広告展開できる時間も短いものとなってしまう傾向にあります。つまり、テレビから見た「商品感覚」というものが生まれてくることになります。
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- そもそも、テレビ放送がスタートした「1950年頃」には「録画」という技術は今ほど発達していませんでした。そのため「テレビ広告」というものも「生放送」のテレビ番組の中で「出演者がCMをおこなう」ことが基本となっていました。当時の広告は大きく分けて2つの種類がありました。1つは「商品名」を紹介するというもの。これは、現在の「15秒」「30秒」「60秒」のCMの原点といえます。
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- そして、もうひとつは「実演して商品の説明をする」といったものでした。現在では、この手の番組内での「商品説明広告」というは随分へってしまいました。しかし、チャンネルが増えたお陰で、この「商品説明広告」というもの自体が「テレビショッピング」という形に進化したともいえます。ケーブルテレビなどでは、この「テレビショッピング専用チャンネル」などもあります。
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- つまり、番組のボリュームが増えただけで、結果的に「商品のCM」というものの「本質」は、何ひとつ変っていないのです。ここで「テレビ広告のことを考慮した商品化」というものを考えた場合、大きく、次の2つのことに気をつけなければならないことがハッキリしてきます。
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- 1)「15秒」を中心とする「いわゆるテレビ広告対応戦略」
- a)商品は、短時間で特徴のわかるようなものであるほうが知名度が上りやすい。
- b)特徴の乏しい商品でも、テレビ広告であれば、メロディー化したり、ドラマ仕立てにすることで表現しやすくなる。 .
- 2)「テレビ・ショッピング対応戦略」
- テレビ・ショッピングであれば、実演して説明することが可能となります。つまり、実演映えするような商品に仕上げておく必要があるわけです。テレビ映像は、色や音、動きが表現しやすいため、これらの「演出まで」を考慮して仕上げておく必要が出てきます。
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- テレビが1950年代に世の中に登場して、早々に「テレビ広告戦略」を徹底して用いた企業は、アメリカの「アルバート・カルバー社(整髪料メーカー)です。当時は生放送が基本でしたから、現在でいう「テレビ・ショッピング型」のテレビ広告が主体となっていました。当時のCEOであった「ラビン社長」は、取材の際、このように発言しています。
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- 「エンドユーザーが商品を購入するツボを見つけ出しなさい。そして、エンドユーザーが望んでいる商品を販売するのです。それは、全く新しい商品であろうが、従来の商品を改良した商品であろうが、どちらでもかまわないのです。エンドユーザーが望んでいることを実現できる商品が、ここに登場したのだとエンドユーザーに知らせたいと思ったならば、徹底してテレビ広告を使うのです。
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- 明確で、デモンストレーション(実演)できるセールス・ポイントを持ち合わせている「大量販売商品」にとっては、この時代、テレビでの商品紹介こそが、最も効率的な「マス・コミュニケーション手段」を先天的に持ち合わせている手法だと言えるでしょう。」
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- CMといえば、「音楽」や「ドラマ仕立て」が基本となります。しかしながら、これらの展開と同時に「商品説明」としての「テレビ・ショッピング」もまた、充分に「テレビ広告」としての機能を持ち合わせていることになります。現在、「テレビ・ショッピング企業」に対して「メーカー」が「特別仕様」の「限定品」を用意しているのは、こういった「説明展開」という「広告チャネル」を活用していることに、お気付きいただけるでしょうか。
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(3)新聞広告に適した商品カテゴリー
専門誌と全国紙(地方紙)の展
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- 新聞広告は、日本においては150年近い歴史をあります。いわば「伝統的な広告メディア」であるといえるでしょう。
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- 広告マンの中には「新聞広告は説得広告」に向いていて、テレビ広告は「イメージ広告」に向いているという人も多いようですが、実際のところ、商品によっては「その逆」も成立するので、一概に「こうだ」と断定することはできにくいようです。また「特定分野の専門紙・業界紙」なども存在しますが、こういった専門誌や業界誌については、金融商品などに頻繁に使われていますが、ここでは「B to C」の「エンドユーザーを対象とする商品」を中心に説明していきたいと思います。
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- たとえば「テレビ・ショッピング」で紹介(広告)されている「洗剤」などは、「百聞は一見にしかず」のたとえの通り、テレビ・ショッピングのコーナーなどで紹介すれば、たちまち「効果」が証明できます。逆に「太陽光発電」や「エコ給湯」などのように「数値による比較」があったほうが効果がわかりやすいものの説明は、新聞広告などのほうが明確に伝わりやすいのです。
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- あえて分類するのであれば、新聞広告は「長い説明」や「文字・数字による説明」が必要な商品の場合、さらに「信頼性」が必要となった時に用いられることが多いようです。また「信頼」に重点を置いた「イメージ広告」の展開にも用いられることがあります。
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- 新聞広告には「スペース・サイズ」や「掲載誌面」によって、その影響度が変わると言われていますし、最近は「カラー広告」が一般的なものとなってきました。しかしながら、「エンドユーザー対象の商品」においては、テレビ広告のように「商品の考え方(イメージ)」までも大きく変化させるといったドラマチックな影響は出ていないように思われます。
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(4)雑誌広告に適した商品カテゴリー
商品カテゴリーのライフサイクルによる「細分化」
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- 第4章「ライフサイクル」で説明した通り「商品のライフ・サイクル」は「導入期」があり、次に「成長期」があり、「ピーク」を向かえ、「処分期」を経て「細分化」されていくものです。そして、また細分化された商品カテゴリーの「導入期」から始まり、「成長期」「ピーク」「処分期」を経て、さらなる「細分化」を向かえます。生活が豊かになり、文明が発達すればするほど、この「細分化」は細かくなっていきます。
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- 雑誌は、まさにこの「商品カテゴリー細分化」の象徴ともいえるメディアであるといえるでしょう。雑誌の歴史をひもといていくと、1867年 アメリカ合衆国で『Harper's BAZAAR』が創刊されたところから始まると言われています。続いて1893年 アメリカ合衆国で『ヴォーグ』が創刊されました。
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- 日本では、1905年 日本で最も歴史ある婦人総合誌『婦人画報』が国木田独歩を初代編集長として創刊されました。続いて、1936年 宇野千代が日本初のファッション雑誌『スタイル』を創刊(講談社が2001年創刊した「style」とは別物)。同じ年、洋裁の専門誌として『装苑』が創刊されました。
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- 近代においては、1954年、日本初の男性ファッション雑誌『MEN'S CLUB』が創刊され、女性のためのファッション雑誌 『家庭画報』が1958年に創刊となりました。
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- 現在のファッション雑誌の原点ともいえる 『non-no』が1971年に創刊。旅行特集で前年創刊の『anan(アンアン)』とともにアンノン族現象を引き起こしました。ここから「現在のファッション・カテゴリーの細分化」がスタートしたと言われています。続いて、男性ヤングのためのカタログ風商品紹介雑誌 『POPEYE』が1971年に創刊されました。その後、若い女性のための雑誌における最初の細分化の波ともいえる 『JJ』が1975年に創刊され、新しいファッションブーム「ニュートラ」が全国的に流行しました。
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- 現在では、女性のファッション雑誌においては「モード系」「ハイエンド系」「ストリート系」「アラサー」「OL系」「お姉系」「ギャル系」「ガーリー系」といった、8つの分野にカテゴリー分けされ、書店には50種類近い雑誌が常備されているほどの細分化傾向にあります。
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- また、雑誌といえば「ファッション誌」が代表とされていますが、一般的には「趣味のもの」「専門誌」などの分類もされています。日本雑誌広告協会雑誌分類認定委員会が定めた、新「雑誌ジャンル・カテゴリー区分」は、以下の通りです(2008年9月現在の分類・なおティーンズは19歳以下、ヤングは20~24歳、ヤングアダルトは25~34歳、ミドルエイジは35~49歳、シニアは50歳以上と定義されている。)
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- 【男性向け】
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- ○総合
- ・総合月刊「オピニオン(社会・政治・ビジネス)」
- ・週刊「一般週刊誌」「写真週刊誌」
- ・その他総合誌「増刊・日刊ほか」
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- ○ライフデザイン
- ・男性ティーンズ誌「ストリート」
- ・男性ヤング誌「ファッション・おしゃれ」「グラビア」
- ・男性ヤングアダルト誌「ファッション」「ライフスタイル・全般」「グラビア」「オピニオン」
- ・男性ミドルエイジ誌「ライフスタイル」「ファッション」「ファミリー」「
- ・男性シニア誌「ライフスタイル」
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- ○ビジネス「ビジネス・マネー誌」「ビジネス」「金融・マネー」
- ・情報「モノ・トレンド情報誌」
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- ○趣味専門
- ・スポーツ誌「ゴルフ」「格闘技」
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- ○自動車・オートバイ誌「新車情報」「輸入車情報」「車種別専門」「メカニック・メンテナンス」「チューニング・カスタマイズ」「パーツ・その他」「オートバイ・スクーター」
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- ○パソコン・コンピュータ誌「「パソコン・インターネット」「システム、ネットワーク」「Mac」「通信」
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- ○コミック
- ・少年向けコミック誌「少年向けコミック誌」
- ・男性向けコミック誌「男性向けコミック誌」
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- 【女性向け】
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- ○総合
- ・女性週刊誌「女性週刊誌」
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- ○ライフデザイン
- ・女性ティーンズ誌「ローティーン」「ティーンズ総合」「ファッション」「ストリート」「エンターテインメント情報」「その他」
- ・女性ヤング誌「ファッション・総合」「カジュアル」「ライフスタイル」「エンターテインメント情報」
- ・女性ヤングアダルト誌「ファッション・総合」「レガンス・ハイクオリティ」「モード・ハイエンド」「モード(海外提携誌)」「キャリア」「大人ギャル」「生き方」「
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- ○ライフスタイル・総合」
- ・女性ミドルエイジ誌「30代ファッション」「40代ファッション」「ライフスタイル・総合」「生き方」
- ・女性シニア誌「ライフスタイル」「ファッション」「ライフカルチャー」
- ・マタニティ・育児誌マタニティ・育児「子育て」
- ・生活実用情報誌「ハウスホールド全般」「生活情報全般」「食(料理・レシピ)」「手作り」「住(インテリア・エクステリア・雑貨)」
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- ○ビューティ・コスメ誌「コスメ」「ヘア」「ボディ」「ナチュラルライフ誌」「ナチュラルライフ」
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- ○情報
- ・エリア情報誌「エリア情報」
- ・ブライダル情報誌「ブライダル情報」
- ・旅行・レジャー誌「旅行・レジャー」
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- ○コミック
- ・少女向けコミック誌「少女向けコミック誌」
- ・女性向けコミック誌「女性向けコミック誌」
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- 【男女向け】
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- ○ラフデザイン
- ・シニア誌「シニア誌」
- ・社内・機内・会員誌「社内・機内・会員誌」
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- ○情報
- ・エリア情報誌「エリア情報」
- ・テレビ情報誌「テレビ情報」
- ・食・グルメ情報誌「食・グルメ情報」
- ・住宅・賃貸情報誌「住宅・賃貸情報」
- ・求人・転職情報誌「求人・転職情報」
- ・フリーマガジン「フリーマガジン」
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- ○趣味専門
- ・旅行・レジャー誌「旅行・レジャー」
- ・スポーツ誌「スポーツ総合」「各スポーツ競技別」
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- ○文芸・歴史誌「文芸(小説・エッセイ・コラムなど)」「歴史読み物」「読書情報」
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- ○健康誌「健康情報」
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- ○エンターテインメント情報誌
- ・エンターテインメント総合「音楽・アーティスト情報」「映画・スター情報」「その他(演劇など)」
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- ○ゲーム・アニメ情報誌「ゲーム・アニメ情報」
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- ○建築・住宅誌「住宅建築(一般)」「住宅建築(実務者)」「店舗建築」「建築技術情報」
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- ○業界・技術専門誌「業界・技術専門情報」
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- ○その他趣味・専門誌
- ・「アウトドア」「オーディオ」「ギャンブル・ロト」「DIY・手作り」「腕時計」「きもの」「キャラクター情報」「ペット」「税務」「教育(実務者)」「介護」「受験」「法律」「財務」「環境」「地方自治」「留学」「カメラ(デジタル含む)」「美容(技術者)」「自然科学」「園芸(技術)」「園芸(一般)」囲碁・将棋」「工芸」「短歌・俳句」「茶道」「アート・デザイン」「クロスワード・パズル」「ホビー(模型・おもちゃ・フィギュアなど)」「その他」
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- ○カタログ
- ・カタログ
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- ○ガイドブック
- ・ガイドブック
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- ○時刻表
- ・時刻表
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- ○テキスト
- ・テキスト
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- ○縮刷版
- ・縮刷版
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- ○年鑑
- ・年鑑(1)業界情報
- ・年鑑(2)その他
- ・官公庁発行誌
- ・官公庁発行誌
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- ○ムック
- ・ムック
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- 1970年代から、ライフサイクルの細分化が激化し、たった数十年でここに書き込んだほどの雑誌が世の中に登場しているのですから驚くばかりです。そして、これらの雑誌は、ある意味「マニア」のために作られているものですし、そこにハッキリと区分されたターゲットが存在し、効果性もまた認識されているわけですから、雑誌というもの自体が広告収入をベースとして成り立っているのも当然と言えるのかもしれません。
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(5)チラシ広告に適した商品カテゴリー
チラシ戦略=ランチェスター戦略
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- チラシ広告は、特定エリアで不特定少数のエンドユーザーに広告を展開したい時に用いられるメディアです。つまり、基本的にはローカルな広告主が多く用いる手法となります。チラシ広告は「新聞に折り込まれて配達される」ことが基本となっています。しかも習慣的に低価格訴求をするものが多いため、ローカルの小売店に向いている広告メディアであるといえるのです。
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- エンドユーザーもまた、毎日反復して購入するような日常品(コンビニエンス商品)については、低価格であることが購買動機となりやすいものです。こういう場合、有名ブランドの商品をチラシで広告するのが基本となります。逆に無名ブランド商品をチラシで紹介すると、企業(店舗)のブランド自体を落としてしまうことにもなりかねません。
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- さて、チラシ広告で「有名ブランド品」を低価格で紹介すればお客様が集まって企業(店舗)が儲かるのか?というと単純にそうとは言い切れません。よく見受けられるのが、チラシで大々的に広告は行ったけれど、売場はいつもと変っていないというパターンです。こういうパターンが繰り返されると、来店したお客様は「だまされた」という気持になって、完全なる客離れとなっていきます。
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- さらに「単純に仕入れ条件が良くなった」ということだけで「価格戦略」のみに突き進んだ場合、企業の利益を圧縮し、結果的に「売出し」をした分だけ利益を得ることができないという「デフレ循環」のような自体に陥ることもあります。食品スーパーなどでは、1年を52週として、数年に渡った統計をとり、どの週に、どれだけのチラシ広告を行えば効率的かを把握しているのが通例となっています。
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- さらに、チラシ広告を行う場合「ローカルエリア」での「商品カテゴリー別の自店のシェア」によって「チラシのレイアウト構成」がまったく違ったものとなります。これは、まさに「ランチェスター戦略」に基づいた考え方です。「○○ならば、あそこのお店」「○○ならば、あそこのメーカー」といった「ローカルエリアのシェア」が独占状態である場合の展開と、2番店の展開はチラシのレイアウト構成自体が違っているのです。
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- チラシのレイアウト構成が違っていれば、当然「店頭のレイアウト」や「コーナーづくり」も違ってくることになります。こういった「勝利の方程式」を理解したうえでの「チラシ広告展開」であれば効果性も高まります。しかし、やみくもに「素人の思いつき」のようなチラシ広告は、利益の圧縮や、企業(店舗)ブランドの低下につながる恐れもあるのです。
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- 詳しい話をし始めると、これだけで恐ろしいほどの文章が必要になりますので、ここではこの1点についての詳細紹介は割愛させていただきますが、単純に「チラシ広告」といっても、それ相応に「利益を上げるための学習」が必要となることだけご理解いただければ嬉しく思います。
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(6)ダイレクトメールに適した商品カテゴリー
ワンツーワン・マーケティングと顧客管理
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- ダイレクトメール(DM)は、1930年ごろからアメリカで発達し始めたメディアです。1960年代までに、アメリカでのその発達は目まぐるしいものがありました。そこには「活字文化」としての「タイプライター」や、絶対的な人口が存在したからこそ、発達しえたメディアであると言えるのかもしれません。アメリカ全土で大規模広告を行うとすれば、中小の企業にとっては天文学的な費用が必要となります。
- しかし、エリアや顧客層が限定されている場合、ダイレクトメールは非常に有効的な手段だったと考えられます。このメディア展開に必要となってくるのが「顧客管理システム」です。顧客管理ができていて、はじめて「ダイレクト・メール」の効果性が高まると言えるのかもしれません。マス・メディアのように「広く多くのターゲット」ではなく、「狭く、限られたターゲットに、繰り返し購入いただくためのメディア」がダイレクトメールです。
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- 日本において、「ダイレクトメール」が上っ面の形ではなく「販売強化のためのメディア」として導入されたのは1995年からだと言われています。本格的にダイレクトメールを「販売強化メディア」とするために「動態検索顧客管理システム」を大規模に最初に導入したのが、奇しくも私がかつて務めていた「西武百貨店」だと言われています。「club ON」という会員システムが、まさにこれに当たります。
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- 小規模で「手作業」で「日々の販売情報(動態情報)」を徹底して記録し、それを顧客への連絡に使うことで、爆発的な成長を見せた企業(ブランド)があります。「ファイブ・フォックス」という企業が持つ「コムサ・デ・モード (COMME ÇA DU MODE)」は、この「動態情報を駆使した顧客管理」という手法で、1980年代から、1990年代にかけて、急激に成長していったのです。
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- それまでの「一般的な顧客管理」というものは「名前」「住所」「家族構成」などといった「決まり切った情報(静態情報)」を管理し、そこに「販売カルテ」などというものを駆使することはありませんでした。つまり、不十分な情報を使って、やみくもにダイレクトメールを「ばらまいていた」というのが実際のところのようです。そのため「ダイレクトメールは効果性が低い」という人が多いのです。
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- 西武百貨店は、アメリカの「ノードストローム百貨店」から、このシステムを高額の資金を投入して購入します。しかし、結果的にその「顧客管理システム」が、高級旅館や、高級料亭の行っている顧客管理方法と、何ら変りがないことに後になって気付くことになりました。ただし、このシステムは他の顧客管理システムとは絶対的に違っているものがありました。
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- レジでの購入データー、つまり、○○というお客様が何月何日に、何を、どの売場で、どれだけ購入したか。という記録を日々上書きで記録していくといったものでした。カンタンに言えば、毎年、○月に、○○を購入しているお客様を高額購入順に100名!と検索すれば、その名簿が数分でプリントされてしまう。といったものです。
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- 残念ながら、この「素晴らしいデーター」を活用できるノウハウを持った人たちが「早期退職優遇制度」に対応し会社を去ってしまったということもあり、西武百貨店は倒産に追い込まれていきます。
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- しかしながら、このシステムが「日本中のショッピング・センター」などに導入され、現在にいたっている経緯があります。「新規のお客様を1人獲得する広告投資金」と「5人の顧客を守り切る広告投資金」はほぼ変らない。「常連客」を徹底的に守り抜け!という「コンセプト」で展開された「ワントゥーワン・マーケティング」という手法は、さらなる発展を見せることとなります。
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- この情報システムを「コンピューター・インターネット・電子メール」を駆使することによって急成長したのが「Amazon」という「インターネット・販売企業」です。この企業は、まさに「ダイレクトメール」を「自動動態検索」し、自動で「その商品に興味がある人」に対して「電子メールで新商品を紹介する」という手法を用いて大きくなったのです。
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- コンピューターが発達するまで、日本ではアメリカでは見られなかったほど「ファクシミリ」が定着していきます。これは「タイプライター」を活用してきた西洋と、「手書き文字」を活用してきた「日本」との文化性の違いもあったようです。現在では「キーボードによる活字の入力」はコンピューターの発達により、ほぼ欧米化しているといえます。また、エンドユーザーも「キーボード入力された情報」を抵抗無く受取るようになってきました。
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- この手法は「インターネット販売」で大きく活用されています。逆に言えば、この「ダイレクトメール」のための「顧客管理」ができない企業が「インターネット販売」で成功している例が、ほとんどないことも事実なのです。
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(7)インターネットに適した商品カテゴリー
カタログのペーパーレス化
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- 従来使われていた「紙媒体」での「カタログ」は、最近では「インターネットのホームページ化」され、自宅でカタログを見ることもできるようになってきました。また、従来「パンフレット」として作られてきた「会社概要」や「会社PR誌」などもホームページ化され、誰もが自宅で「かつてのパンフレットやカタログ」をインターネットを通じて見ることができるようになりました。
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- 問題は、この「誰もが」という部分です。ここまで情報網が整備されてくると、当然、雑誌以上に「細分化の波」の進行は進むばかりです。逆にいえば、それだけのネットワークがあるのであれば、テレビや新聞以上の成果があっても不思議ではありません。しかしながら、現実はそうではありません。なぜ、そういうことが起こってしまうのでしょうか。
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- 大手企業は、こういう部分にまで当然といって良いほどクオリティの高いデザインを備えたホームページを有しています。しかし、中小企業、零細企業は、インターネットを活用しても思ったほどの成果を手に入れてはいません。それは、デザインのクオリティの問題、ホームページのデザイン演出の問題だという専門家も大勢いらっしゃいます。
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- テレビや雑誌のクリエイターがインターネットのホームページを作れば、とても魅力的なものが出来上がります。それは、紙媒体が熟成する段階で、そういったノウハウも醸成されていったからなのです。ホームページは、毎日更新する「カタログ」と言い放った人さえいます。事実、売上が上がっている「インターネット販売企業」の展開は、日々、新商品情報を更新しているものばかりです。
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- さて、ここで「ライフサイクル」から見た「細分化」というものを考えてみたいと思います。ここまで細分化が進んでくると「マニア」の間には「マニア向けの商品需要」が出来上がってきます。たとえば「書籍」にしてみても、色々なカテゴリーがありますが「自己啓発の専門店」というものが登場してくることもあるわけです。お客様は、その店舗のエリアには少ないかもしれませんが、多くの人たちが全国から、そのホームページを見ることができるのです。
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- つまり、小店舗、地方店舗にとってみれば、この「細分化の波」は最大の武器となってきます。ただし、あくまでも「デジタル状態での商品紹介」は、紙媒体、つまり「パンフレットが上手に作れる」、リアル店舗での商売が、そのままデジタル販売となっている。という状態が必要になってきます。お客様の「満足のハードル」は限りなく高くなってきています。
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- とはいえ、地方の店舗や、末端の店舗にとって、これ以上のマーケットはありません。細分化した上で徹底的に特化する。さらに「デザインクオリティ」をお客様が満足するところまであげていく。これがインターネット・メディアを使った商品紹介の展開方法だと言えるでしょう。さて、では、どうすれば「デザインクオリティ」が上るのか?という部分については、あまりに多くの情報を紹介しなければならないため、ここでは割愛させていただきます。
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(8)携帯メールに適した商品カテゴリー
同一カテゴリー商品の特売情報
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- 現在では、携帯電話の所有は当たり前のような状態になってきましたし、さらに「携帯電話の電子メール」も、日常のコミュニケーション手段として、ごく当たり前に使われるようになりました。ホームページでさえも、携帯電話を通じて行えるような時代です。当然、こういった「携帯電話の電子メール」というメディアも広告展開メディアとして考えられる時代となっています。
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- 特に、このメディアに関しては「女性」が「普段の友人とのコミュニケーション手段」として使われていることから、女性を中心に広告メディアとしても使われているようです。文章量に限りがありますし、シンプルな情報告知が必要になるという特性があります。
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- このメディアを使って成果を出しやすい商品としては「同一商品でありながら、日々、価格の変わるもの」といえるかもしれません。「マクドナルドのハンバーガー」や「ガソリンの特価連絡」、スーパーからの「売出し、超目玉商品の紹介」、はたまた「ランチサービスのメニュー案内」など、よく行くお店から、補足説明をする必要のない商品が、本日は「○○円!」という形で「価格告知展開」をするのが、このメディア向きの商品といえるのかもしれません。
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