「売れてしまう理由」

2)「トコトン分けること」にこだわる



Chapter-12 「独立した商品概念要因」

(1)独立した商品概念要因

実務的に使われている「一般感覚」

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  • この章で取り上げようとする商品の考え方は、ここまでに述べてきたものとは違った「独特のもの」です。そしてまた、これらは「単独に成立している商品概念」ばかりです。それでいて、実務的によく使われているものです。
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  • いずれも一種の「商品分類」といえるでしょう。たとえば「ブランド商品」という言葉があります。「ひとくち」に「ブランド商品」といっても「ヨーロッパの高級ファッション洋品」から、「マニア向けの職人商品」、「名前の売れた企業の電気製品」など、多種類の商品を含めたものを意味しています。
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  • それでいながら、これらの商品は「ブランド」という点で共通したイメージがあります。「ブランド」という言葉が持ち合わせている「重厚さ」「高級感」といったイメージは、長所になると同時に弱点にもなります。それは、ブランド商品と呼ばれるものに、共通のマーケティングから見た課題があるからです。
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  • つまり、ブランド商品に関する考え方は、「マニア向けの職人商品」や「名前の売れた企業の電気製品」などにとって、戦略的報告を大きく左右する重要な「要素」があるといっても良いでしょう。
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(2)パーソナリティ商品

個性によって選択される商品

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  • パーソナリティ(個性重視の)商品というものが、マーケティング業界で注目されるようになったのは1965年ごろ。その当時、アメリカでは、いろいろある購買動機の中で「個人の好みによる選択」というものが多くなり始めたのだといいます。そこで、リサーチをする企業もまた「パーソナリティ」に注目をし始めたというのです。
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  • このころから「マーケティング担当者」も「広告担当者」も、そういった「個人の好み」というものを調査しはじめたといいます。1965年に日本においても翻訳されダイヤモンド社より出版されたベストセラー「モチベーション・リサーチ入門」(H・ヘンリー著)には、このような一節があります。
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  • 「モチベーション・リサーチは、エンドユーザーのパーソナリティーと、商品のパーソナリティーとの間の関係を研究するものである。」
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  • パーソナリティ(個性)が違っていると、好みが違っているわけですから、購入する商品や選ぶブランドが違ってくるようになるわけです。1965年ごろまでは、テレビといえば同じような形で同じような色の商品ばかり。テレビと同じく、需要が供給量を上回った洗濯機も冷蔵庫も似たような商品が「新しく世の中に登場する」といった時代だったわけです。つまり、供給量が多いところが競争に勝利したというわけです。
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  • 今日のように、物が豊富な社会となり、商品が類似かしてしまうと、商品の選択がむずかしくなってしまいわけですから、商品デザインや、商品の色彩などによって「こっちの商品のほうが好き」「こっちの商品のほうが自分に似合う」といった基準で購入を選択するようになっていったわけです。
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  • それらの選択に影響する「個人的な好き嫌い」は商品カテゴリーによって違ってきます。単に「外向的な性格の人」だからとか「内向的な性格の人」だからということはないのです。たとえば「缶コーヒー」の場合、缶コーヒーを「休憩時間」に飲む性格にある人と、飲まない性格にある人がいるわけです。
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  • つまり、缶コーヒーに対して2つの基本的なパーソナリティーが存在するわけです。現在、広告やマーケティングを企画するとして、どちらのエンドユーザーを狙うべきなのでしょう。ひとつの考え方として「需要層を拡大する」ために、缶コーヒーを「休憩時間に飲まない人を、いかにして顧客として開拓するか」という問題が登場したとしましょう。
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  • アサヒ飲料が展開している「急いでいる朝食時間に飲む缶コーヒー」という広告展開は、まさにこの狙いを持っていることを察することができるわけです。(もちろん、同時に差別化という狙いもあることが理解できるでしょう)
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  • パーソナリティー商品の典型
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  • パーソナリティー商品は、特に「ファッション関係の商品」に典型的なものが見られるといえるでしょう。日本における「流行研究」の第一人者でもある経済研究家・今井俊博 先生の著・1968年に誠文堂新光社から発売された「万貨品の考現学―ポピュラー・コンシューマー」には、次のように述べられています。
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  • 「株式会社オールスタイルの東京支店長は、最近の若者の同行について、つぎのように語っています。カラーリング・コーディネイトが実に上手で。自分を上手に表現する能力はバツグンであるといえる。大人の感覚ではお呼びも着かない表現能力を持ち合わせていると表現するのが相応しい。 
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  • 彼らの好みやセンスは、パリのオートクチュールをベースにしたようなものでなない。自分自身が作り出すのが彼らの特徴だ。個性的で、なるほどと頷いてしまうような配色や組合せを生み出している。」
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  • パーソナリティー商品は、その購買においても個人の「好き嫌い」が実に反映しやすい商品です。ファッション関係の商品は、それがまさに直接的に現れやすいのですが、洗剤やカップ麺のような商品にも「個人の好き嫌い」は反映してくるものです。
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  • 商品カテゴリーによって「その度合いが違っているだけ」と考えれば、納得しやすいのかもしれません。細分化がすすんだ商品カテゴリーでは、すべて「個人の好みと主観」によってしか購買決定の要因が存在しないからです。
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  • 消毒剤とパーソナリティー
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  • では、どのようにすれば「マーケットの大きいパーソナリティーを把握できるか」ということが問題になってきます。しかし、これは実に難しい問題のようにも思えてきます。パーソナリティー商品の典型が「ファッション商品」であることからも推察できるように「大衆の好き嫌い」というものは、きわめて流動的であるうえに、対象によって反応がまったく違ってくるからです。
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  • モチベーション・リサーチの大家「H・ヘンリー」は、1960年代に次のような例を著書の中であげています。これこそ、現代にいたってもなお活用されている「マーケットの大きな大衆のパーソナリティー」に対応した広告やマーケティングを活用するための基本的な概念であるといえるでしょう。
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  • 「消毒剤を私たちが販売しようとしているとしましょう。それは、単純に消毒剤を一種の洗浄剤としてのみ認めている大勢の方々ではなく「ばい菌や、病気に神経質になっている少数の人たち」を対象とすることに決めたとしましょう。
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  • この決定は、関係のあるすべての要因と現在の競争状況を検討したのちに、ここには最も大きな利益が見出されることを指摘したモチベーション・リサーチの結果として導き出されたものです。
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  • 次に私たちは、実験調査のために「2種類の考え方」で「広告」を制作しました。一方は、ばい菌の話を盛んに宣伝し、もう一方は、清潔さの問題を宣伝する形にしました。そして、これを私たちの行う「厳しい意見を集めるイメージ調査」を広く無差別な対象にかけたのです。
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  • 結果としては、68%対32%という割合で、ばい菌の(ネガティブな)広告よりも、清潔さの(ポジティブな)広告のほうが好まれ、よく理解され、成果を得られやすい広告であることが判明したのです。」
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  • こうなった時に一般的なモチベーション・リサーチャーは「ポジティブな表現の方が効果的である」と考えるのでしょう。しかし、H・ヘンリーは、さらに踏み込んだ調査を行ったのです。「この商品が目の前にあった時、あなたは即座に、また、確実に購入するかどうか?」
  • この質問に反応したのは「ネガティブな広告」が良いと答えた「ばい菌」に嫌悪感を持った「赤ちゃんの母親」などの方々でした。ばい菌のことを中心にしている広告は、32%の人にしか注目されていませんでしたが、ばい菌や、病気に神経質になっている人々は、この32%の方に偏っていたのです。
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  • つまり、32%という支持率の低い広告のほうが、セグメントされたマーケットを狙うアプローチ戦略であるというのです。ここに「パーソナリティー」をマーケティングする「考え方の基本」があるといってよいでしょう。繰り返して簡潔に表現すると次のようになります。
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  • 商品やパッケージ・デザインや広告表現などは、すべて「感情を持った個性的なもの」なのです。その「感じを好む人と、好まない人」がいるわけですが、それがどんな比率なのか予測するのは非常に難しいのです。そこで「好き嫌いに関するテスト」を行い、好む人が多いかどうか、を調べるわけです。
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  • このような「好き嫌い」は、「ファッション商品(ソフト商品)」な要素を持ち合わせた商品になれば、なるほど、購買動機の決定的な要因となりやすいわけです。つまり、単純に「ムード」や「イメージ」を表現するだけでは不十分なのです。結果的には、「マーケットの対象」との関係を「事前にテスト(リサーチ)」して、把握しておく必要があるのです。
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  • 特に購入者側の反応が顕著に現われるのは「企業ブランド・マーク」の「色彩」「書体」「バランス」といった「デザインの構成」。さらに商品自体の「色彩」「立体のデザイン」「箱や袋の場合は、書体・写真・バランス」といった「デザインの構成」が非常に大きな購入要因となることが判明しています。
  • 確かに、現時点では「パーソナリティー商品」が世の中の商品の多くを占めています。しかし、この部分を掘り下げると、ここに書いた全ての文章量を上回ってしまうほどのものになりますので、ここでは割愛することにします。しかしながら、この部分も既に1960年代から研究され、現在に至り「計画的にヒット商品を構築すること」は可能となっています。
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  • 「ビール業界をひっくり返してしまった」と言われている「アサヒ・スーパードライ」は、まさにここでは割愛する「パーソナリティー商品の開発手法」によって生まれたものです。この商品の存在が、ヒットを産み出す商品開発や、広告戦略、マーケティング戦略が存在するという「証明」といえるでしょう。
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  • パーソナリティーによる「好き嫌い」の関連性
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  • 新しい商品には一般に新しい訴求ポイントがあるものです。たとえば「黄色い色」をつけた消臭剤があるとしましょう。この消臭剤を好む人が何%ぐらいいるものなのか。また、その人たちは、なぜ「消臭剤を好むのか」を理解していると、販売にしそうかどうかの予想がある程度立つものですし、マーケティング戦略や、広告表現が、この確信によって非常に効率が上ることはもちろんのことなのです。
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  • たとえば、錠剤になっている薬は、ツブが大きいと飲み難いものですが、このようなものであっても、大きいツブを好む人が何%いるのか、そして、それはなぜなのか、ということを理解していなければ戦略というものが立てられないのです。
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  • 1960年代に、あるアメリカのメーカーが「キッチンペーパー」をドイツに販売しようとしました。しかし、ドイツの主夫には「節約は美徳」という意識があり「使い捨てなど、もったいない」という気持が根強く残っていたので、便利だと交換は持たれても「いざ、購入するか?」というと、大きく売れていくことはないだろうと結論づけたのだそうです。
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  • その時に発見された「好き嫌いの関連」は、このようになっていたようです。
  • 19%  紙袋を捨てずにいる人でキッチンペーパーに好意を持った人 
  • 81%  紙袋を捨てずにいる人でキッチンペーパーに好意を持たなかった人
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  • 63%  紙袋を捨てる人でキッチンペーパーに好意を持った人
  • 37%  紙袋を捨てる人でキッチンペーパーに好意を持たなかった人
  • この結果において「紙袋に対する主婦の習慣」は、キッチンペーパーに対する感覚を象徴する「関連性の高いもの」と考えられたのです。このように、商品が持ち合わせている独特の感情や意味に対する「購入者側の独特の反応の関連パターン」を捕らえると戦略的目標は、より明確化し効果的な戦術までが構築できるわけです。
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  • エンドユーザーのパーソナリティは、商品によって全く変わった形をとる傾向にありますが、「商品購入の嗜好要因」という角度からエンドユーザーを分類しながら見ていくと、実に「似かよったものを好んでいる実態」が明らかになってくるものです。
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  • こうなった時に考えるべきは「客層」という考え方です。初歩のマーケティングでは「20代前半の働く女性(OL)」といった区分を行いますが、実践的なマーケティングでは「客層」ではなく、いわば「客相」という考え方でターゲット分類を行うものです。たとえば「妊娠3ヶ月の女性」であったり、「資生堂の○○というブランドを好んで購入するOL」といった概念での「顧客分類」が「客相」という考え方です。
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  • これもまた「実践マーケティングの初歩的な考え方」に過ぎませんが、こういった「実践的なマーケティング手法」を学ばず、「マーケティングの入門段階における区分」である「客層」といった考え方、つまり「20代前半の女性OL」という分類で、新しい商品を開発しようとして失敗をしている会社が、あまりにも多いことに驚くばかりです。
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  • そこには、アメリカの広告代理店と日本の広告代理店の「役割の違い」が顕著に現れているといえるでしょう。アメリカの広告代理店はマーケティング戦略による「売上業績」=「契約評価の基準」となった形で成長を続けてきました。つまり、実践的なコンサルティング業務も「通常の業務」の中に含まれノウハウを磨いてきたのです。
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  • しかしながら、日本の広告代理店は「売上に対する責任」はありません。いいえ、どちらかといえば「売上実績評価を避けて通ってきた歴史」さえあるのです。ここに「広告代理店の業務としてのノウハウ構築量の大きな差」があることは否めません。日本では、この部分を「コンサルタント」に頼るほか方法がないのが実情なのです。
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(3)インスタント・商品

社会が豊かになるほど発達する加工商品

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  • 日本において「食品」の「大革命」が起こったのは1950〜1960年頃です。最初に「発明」された画期的商品は「エスビー食品」の「固形カレールウ」の発売だったといえるかもしれません。それまで、家庭で作られていたルウは「ハウス食品」が発売していた「ホームカレー粉」で、粉末のカレー粉を、自宅でバターや小麦粉と一緒に炒めて「自宅でカレーのルウを作る」というのが一般的でした。
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  • エスビーの「固形カレールウ」に続き、ハウス食品、グリコ食品も続けざまに「固形カレールウ」を発売し、それが主流となっていきました。「料理が不得手な人でも、カレーぐらいなら作れる」といった「カンタン料理」がスタートしたのは、このころからだったといえます。
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  • 続いて登場したのが「日清のチキンラーメン」でした。それまで「中華そば」「支那そば」といわれていたのですが、この商品の発売と同時に「ラーメン」という呼び名が定着していったほどです。発売当初は「魔法のラーメン」とまでいわれた、食品業界にとって「大改革」のスタートとなりました。
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  • その後、「レトルトカレー」や「カップ麺」といった商品が生まれ「インスタント商品」=「美味しい」という感覚が定着していきます。何よりも、素晴らしいのは、今や「世界最高峰」とまで言われるようになった「日本という国の包装容器開発」の「技術の高さ」「発想力の多才さ」だといえるかもしれません。お弁当についている「どこからでも切れるワサビの入れ物」などは、世界中を探しても存在しません。
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  • そもそも「レトルト」という「包装用材」は、アメリカの「軍隊食」を携行するために作られた「軽くて」「丈夫」で「カンタンに調理できる容器」でした。これを「世界的にカレーのルウの入れ物」にしたのは「日本人の発想力」によるものです。現在でも、レトルト食品の30%以上は「カレーのルウを入れるもの」として使われているのです。
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  • 普段、何気なく使っているものでも、それが「世界最高峰の技術」であることも多いのです。レトルトカレーの登場、カップ麺の登場により「アメリカよりも数十年遅れている」と評価されていた、日本の「お手軽調理食材」は、驚くほどの発展を見せました。奇しくも、社団法人「日本包装技術協会」の開催する「包装管理士講座」の講師をしておりますが、参加される容器メーカーの技術者の方々の技術力・専門知識の高さには唸るばかりです。
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  • 現在、食品スーパーに出向けば「お手軽調理商品」が、驚くほど並んでいます。「冷凍商品」「チルド商品」「カップ麺」「インスタント・ラーメン」「固形カレールウ」「固形シチュールウ」・・・ 何もかも「すぐできる」「カンタン」「美味しい」という条件を満たしているものばかりです。
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  • 「おやつ」や「デザート」として登場した最初の商品は「ホットケーキ用の粉」「即席プリン」「即席ゼリー」というものだったのではないかと思います。現在では、こうしたものは見られなくなってきましたが、進化した形で「即席マンゴープリンの素」「フルーチェ」などといったものが販売されているようです。
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  • 食商品を開発する上で、この「即席感覚」というものは「商品開発を行う上での柱」となるものですが、その「概念」を展開していくうえで、歴史的に、この「即席商品」が、そのような位置づけで成長していったのかを理解しておく必要があるだろうと思います。そこには「重大な無意識での購入理由」が隠れているからです。
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  • 商品カテゴリーが何であっても、開発当初に不足しているものはたくさんあります。また、全く新しい商品が生まれ、即座に市場が受入れることはありません。インスタント商品にしても同じことがいえます。誕生から根を少しずつ伸ばし、茎が育ち、枝葉が伸びているからこそ現在のような素晴らしい商品が登場しているのです。しかしながら「インスタント商品」という絶対的な「根」の部分を把握しておかなければ、今後の展開が「肝心な要点」を見逃したものになりかねません。
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  • 即席商品が開発され一般市場に登場し始めた1960年頃の「インスタント商品」に対するイメージは、現在のものとは随分違ったものでした。そして、その当時、問題になっていた「インスタント商品」の「絶対的な弱点」ともいえるべき点を改善し続けてきたこそ、現在のような「かんたん」「美味しい」「すぐできる」という日本独自の素晴らしい商品が続々と登場しているのです。
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  • 1950年頃、アメリカで開発が始まった「インスタント商品」は、合理主義のアメリカ市場でさえ独特の負担を背負っていました。なぜならば、インスタント商品という「安価で手軽な商品」を初めて体験する多くの方々にとっては、「安物」「美味しくない」「栄養分が足りない」といったイメージを持たれやすかったのです。このネガティブなイメージは、かなり長い期間、市場に定着していました。
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  • 現在のような「飽食の時代」には、まったく考えもしない感覚かもしれませんが、当時は「栄養が足りない社会」でもあったのです。お菓子のキャラメルにでさえ「森永ミルク・キャラメル」には「滋養豊富」、「グリコ・キャラメル」には「ひとつぶで300メートル」と書いてありました。50年前は、今では考えられないほど「食生活」は「栄養」を重視したものでした。
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  • 現在のような男女平等の社会にはなっておらず、日本において女子は「家政科」のある「女子高等学校」へ行くか、ほよど裕福な家庭であっても、4年制の大学ではなく「女子短期大学」の「家政科」にいって、裁縫や料理を習うのが基本であった時代です。当然、そういう学校の家政科で習う料理といえば、当然「インスタント食品を使うような献立」はありませんでした。
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  • この感覚は、アメリカ社会においても同じだったといえるでしょう。1960年代にアメリカで行われた「モチベーション・リサーチ」によって「インスタント商品」を使うことが「主婦の気持」の中で意外にも「大きな抵抗」を生んでいたことが明白になったのです。この調査は「牛乳と混ぜるだけのインスタント・スープ」についてのモチベーション調査でした。
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  • 「なぜ、インスタントスープを使うのだろうか?」
  • A「よく使う人」が持つ「使っている人に対する」イメージ
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  • 1) 95% 時間がないからだと思う
  • 2) 59% 自分で本格的に作った方が美味しいから
  • 3) 73% どちらでも味は変わらないと思う
  • 4) 44% 料理がヘタだから
  • 5) 35% 面倒だから
  • 6) 46% インスタント・スープは安いから
  • B「時々使う人」が持つ「使っている人に対する」イメージ
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  • 1) 92% 時間がなかったからだと思う
  • 2) 55% 自分で本格的に作った方が美味しいから
  • 3) 48% どちらでも味は変わらないから
  • 4) 45% 料理がヘタだから
  • 5) 47% 面倒だから
  • 6) 49% インスタント・スープは安いから
  • C「使わない人」が持つ「使っている人に対する」イメージ
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  • 1) 81% 時間がなかったから
  • 2) 49% 自分で本格的に作った方が美味しいから
  • 3) 21% どちらでも味は変わらないから
  • 4) 53% 料理がヘタだから
  • 5) 60% 面倒だから
  • 6) 42% インスタント・スープは安いから
  • 当時のアメリカの主婦達にとっては、インスタント食品に対するイメージの中には「安物」「栄養がない」といったイメージにとどまらず、「怠け者」「愛情不足」「家が貧しい」といった感覚さえあったのです。それは、人によっては「罪悪感」にまでなっていたのです。H・ヘンリーも著書の中で「一部の主婦は、その便利さを利用することに罪悪感をいだくこともある」と書いています。
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  • パッカードは「タマゴを混ぜてください」と広告で伝えることによって、主婦の罪悪感を救い、主婦の創造的満足感を高めた例を紹介していました。(「隠れた説得者」著/V・パッカード)
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  • 「このような【古い話】を持ち出して、何の役に立つのか?」と疑問に思う人もいるでしょう。しかし、この「潜在的な部分」に対するアプローチは現在の「マーケティング戦略」や「広告戦略」にも活用されています。ハウス食品は1960年代後半から「ハウスの固形カレールウ」を使う人には「愛情がある」というキャンペーンを徹底的に行っています。
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  • これも「主婦が誇りを持ってインスタント食品を使うように」ということを狙ったものであるといえるでしょう。インスタント商品のマーケティングにおいては、これは「絶対的な課題」ということになります。この課題を「ブランド構築の戦略」として、どのように取り組んでいくかということが問題になっていくのでしょう。
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(4)ブランド商品

かつては「舶来品」と呼ばれたカテゴリー

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  • ここでいう「ブランド商品」というのは「エルメス」「ルイヴィトン」「シャネル」といった「ヨーロッパ・ブランドのプレタポルテ商品」のことです。こういう意味での「ブランド商品」を日本語に翻訳するとすれば、今や死語となっていますが「舶来商品」と表現することになるでしょう。「舶来商品」というのは、明治維新以来、西洋文明を取り入れることによって急成長を図ってきた日本人にとっては特別なものといえるでしょう。
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  • たとえば「化粧品」、「日本では未認可の薬品」、ゴディバなどの「チョコレート」、皮革などの「ファッション雑貨」、ドレスなどの「ファッション商品」、「高級・輸入自動車」など、いずれをとっても圧倒的な「輸入されたヨーロッパ貴族のための商品」というイメージであり「輸入された高級商品」というイメージを持ち合わせた商品ばかりです。
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  • いずれも最初は輸入された商品ばかりでしたが、長い時間を経ていくうちに全て国内で生産されるようになっていきました。しかし、その影響やイメージというものが完全に抜け切ったわけではなく、輸入されたというヨーロッパのムードを持ったラベルやネーミング、商品のデザインにして販売しているわけです。
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  • 1980年〜1990頃に、日産自動車が「アウディ80」のマイナーチェンジ型自動車「フォルクスワーゲン・サンタナ」を販売していました。バブル経済、絶頂期を向かえた日本では「輸入車」に乗る人も増えていったのです。長い間「輸入車」を自家用車にすることは自動車の所有者にとっては、あこがれでした。この「サンタナ」という自動車は部品を日本に輸入して日産自動車が組み立てて販売したものです。
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  • オプションとして「アウディマークのフロントグリル」や「アウディのエンブレム」なども販売されていました。つまり、そういうものを付け替えると、あこがれの「アウディ」と何も違わないわけです。そして、この自動車も、こういったオプション商品も実際に良く売れたのです。
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  • 同じように「メガネのフレーム」などは、海外ブランドの「意匠登録」が開放されると、こぞって販売権利を購入し、海外ブランドのマークをつけた国産品が作られるようになっています。こうすれば売れるのです。ですから、国産品に海外ブランドの販売権利を得て、そのブランドのラベルを貼って販売する傾向が、当たり前のようになっているのです。
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  • 輸入された「舶来商品」というものは、そもそも「ヨーロッパの貴族」のために作られたものですし、当然、高級なイメージも持っています。明治維新からの歴史的に培われてきた「舶来崇拝」「西洋崇拝」というものは潜在的には、ほとんど衰えていないといえるでしょう。こうやって「西洋からの輸入イメージ」にあやかった商品がドンドン増えていったのです。
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  • 西洋の人が日本に旅行にくると「英語の看板の多さ」にビックリすると言います。確かに、企業名、企業ブランドも現在では、ほとんどが「アルファベット表記」になっています。商品デザイン、パッケージ・デザイン、ネーミングといったものが、きわめて広範囲に輸入イメージを活用しているのです。
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  • それが「日本の文化性」にとって良いことか、悪いことかの論議は出るかもしれませんが、この傾向に対する対応策を立てることが、今日のマーケティング戦略の「常識」となってしまっていることは確かです。
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(5)姉妹商品

シリーズ商品という「新しい小カテゴリー」

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  • 社会経済が熟成し、細分化が繰り返されてくると「姉妹品」がたくさん登場してきます。姉妹品という言葉は実に通俗的で意味合いがアイマイです。わかりやすい例がいくつかあります。缶コーヒーの「Georgia」「boss」といった「系列商品」や、カルビーの「ポテトチップス」といった色々な味の「シリーズ商品」こそが、ここでいう「姉妹品」です。マーケティングの言語でいうと「Line Product」と表現されます。
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  • このように姉妹商品は、ひとつの主力商品が文化して「群をつくる」のです。姉妹商品は、ヒットした商品のイメージを活用とする「商品ブランド・戦略」のことですが、それぞれの商品に明確な特徴を持たせることによって、一層効果が高くなるのです。
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  • 姉妹商品は、商品文化戦略の結果として生まれてきます。ですから、ある商品の系列を文化させ、拡大しようとする時には、そのための明確な戦略を立てておくことが望ましいとされています。
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  • 新製品の節でも触れましたが、新しい商品が生まれてくると、どうしても従来の商品との関係が問題になってきます。むやみにキャンペーンをかけてもマーケティングの効率が悪いからです。
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  • 「姉妹商品(Line Product)」という考え方は、新製品がどの系列に属するものか、どの系列に属して、どんな立場にあるかを明確にしようとするものです。つまり、その扱い方は具体的には「商品ブランド戦略(ブランディング)」に、ハッキリと現れてくるものです。その中で、家族や兄弟のように仲良く、同じ名前か、または近い名前を使って販売される商品を、姉妹商品というのです。
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  • マーケティングの英語の原本によると「ファミリー・ブランド(Family Brand)」とも表現されています。カルビーのポテトチップの例のように、姉妹商品は「陳列棚の場所を、一群をなしておさえる」ことで、ブランド力を強化していくのです。
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  • つまり「新しい妹商品」が誕生すると、すでに作られている「ブランド・イメージ」に乗せて売り込みを行うのです。広告表現も、マーケティング戦略も、姉妹商品の協調を図れば良いわけですから「妹商品」が増えるほど「一群としてのブランド力」は強くなる傾向にあるわけです。
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  • 特に「広告費用」という観点から見ると、経費の大幅な削減ができるというレポートが出されています。しまいしょうひんの考え方は、商品の販売量が、それぞれ小さい時に効果的ですが、洗剤などの「大量販売商品」になると「独立ブランド」として自社競合をさせながら企業として大きなシェアを狙おうとする戦略がとられることのほうが多いようです。
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  • つまり「姉妹商品」を「姉妹商品」として扱うか、扱わないのかは「マーケティング戦略のとり方」によって全く違ったものになるといえるでしょう。
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(6)システム商品

「複合商品販売」という「セット商品」

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  • コンピューターが驚くほど発達し、各企業には当たり前にコンピューターのネットワーク綱が配備されている今、「システム商品」といえば「コンピューター・プログラム」のことを指すことが増えてきました。しかし、本来「システム商品」というものは全く違う意味で使われていました。
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  • 社会におこるあらゆる流行は、なんらかの形で商品に反映していくものです。システム商品という言葉も、こういった「流行」の中で生まれてきました。「システム化でのアプローチ」、「システム技術」、「システム産業」というような形で「システム」という言葉を使うことが「流行」となった時期があったのです。
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  • 経済が発達し、商品カテゴリーが細分化されるにつれ、逆に「不便さ」が生まれてくるものです。そうなってくると、今度は「複合化」されてくる傾向が強くなります。「複合化」とは、いくつもの商品や有料サービスが寄り集まることです。寄り集めるということ自体では、特別むずしい技術が必要になるわけではありません。
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  • たとえば、洗うだけの洗濯機に脱水機が加わりました。さらに、乾燥機がセットでつきました。それだけでは足りなくて「アイロン」もつけようとする。これは典型的な商品の競合対策です。その複合化は「洗濯」というひとつの目的「洗浄」「すすぎ」「絞る」「乾かす」「アイロンをかける」というプロセスにそって、商品を組織的に組み立てていくのです。
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  • この「ひとつの目的にそって、組織的に組み立てる」ということころから「システム化」という言葉が誕生したのです。最近の代表的な「システム商品」といえば「警備会社による家の防犯」が、それにあたります。「赤外線・防犯カメラの設置」「防犯カメラからの信号連絡」「警備会社の受信」「防犯会社から警備員への連絡」「警備員の移動」「警備員による確認」といった「人が動くことも含めた組織的に組み合わせた一連のサービス商品」もまた「システム商品」なのです。
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  • つまり「ひとつの目的にそった、複合的な商品の組合せ」ならば、どんなものでも「システム商品」と呼んで良いわけですし、元来「システム商品」というものは、そういったものだったのでしょう。現代では「洗濯機」に「洗浄・すすぎ・絞り・乾燥・アイロン」という機能を一台にまとめた「システム洗濯機」というものが発売されています。つまり「機械のみによるシステム化された複合洗機能濯機」=「システム商品」というものも開発されていたわけです。
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  • 「JRグループ」が最近販売している「○○から東京駅」「東京駅から舞浜駅」「東京ディズニーランドのチケット」「宿泊」「舞浜から東京駅」「東京駅から○○駅へ戻る」といった「ディズニー・パス」といったものも「システム商品」の一例であるといえるでしょう。
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  • システム商品は「警備システム」や「ディズニー・パス」のように、ひとつのことをするのに、いくつものことをしなくてはならない時に、それを「バラバラ」で販売せずに、「ひとつの組合せ」として「まとめてセットで販売するもの」のことをいうわけです。そういう意味では、昔からある「セット販売(この言い方の場合、2つの商品の組合せが多いが・・・)」と似かよったところがあるわけです。
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  • 最近では「システム商品」というものは、ごく当たり前に販売されています。単品で買い集めているようでは間に合わないパソコン関係商品(インターネット接続・メール設定などを含めた商品)がその代表ですし、ハウスメーカーの「住宅」なども、この「システム商品」といえるでしょう。特に「パナ・ホーム」は、電気器具などと、生活に必要な設備を全部セットにして販売しています。
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  • このように「ひとつの目的のために、一連の商品を組み合わせた【システム商品】」は、ますます増えていくことでしょう。たとえば、ピアノメーカーが、商品を販売する時に「防音設備」までセットで販売しているところもあります。このように「エンド・ユーザーのニーズ」に応えて売上を伸ばそうとする競争が激化すればするだけ「人的サービス商品」との「システム化」が必要になってくるのでしょう。
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(7)必需品

「必需品」と「ぜいたく品」のイメージ

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  • 「この商品は、必需品である」というイメージがあると、その商品を持っていないことは「恥ずかしい感じ」がして、今まで持っていなかった人でも、購入するようになってしまうものです。ですから、たくさん売りたいと思った場合は「必需品のイメージ」をマーケットに植え付けていくことが大切になってきます。
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  • 「必需品というイメージ」は「ぜいたく品というイメージ」の正反対にあるものです。面白良いことに「ぜいたく品イメージ」が「対象マーケットの中で「3%」を越えると、必需品と考えられることは、ほとんどない」というレポートが報告されています。また、逆に「必需品イメージ」が「対象マーケットの中で「50%」を越えると、ぜいたく品と考えられることは、ほとんどない」というのです。
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  • ただし「対象マーケットの中で」というところに気をつけなければなりません。対象をセグメントしなければ「職業」「所得」「年齢」「学歴」などによって「マーケット」自体が変ってきます。なので「世間一般でいう必需品の条件」といったものは存在し得ないものなのです。
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  • 現在、必需品と見られている商品は「炊飯器」「テレビ」「冷蔵庫」「洗濯機」「エアコン」「暖房器具」「携帯電話」「和風調味料」などのように、一般家庭において、きわめて普及率の高い商品なのです。
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  • とはいえ、必需品というイメージは、対象となるマーケットの人たちの個性的な感覚によって左右されるものです。しかし、この感覚を外部から「意図的に、かなり左右すること」は可能なのです。そしてまた、それこそが「現代マーケティングにおける大きな課題」ともいえるでしょう。
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  • つまり、テレビ番組などのタイアップにより「ハイブリッド・エコ・カー」は素晴らしい!と騒ぎ立て、新車の購入需要をはやし立てると、新車への注目度が上ってくるわけですし、実際に「エコ・カー」を購入する人も増えてくるわけです。これは、実に単純な例ですが、需要開拓の手法というものは、すべて「欲しいと感じる意識(需要)」を植え付け、無意識のうちに「気付かせていくように促すもの」なのです。
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  • 次に、いくつか「マス広告」によって用いられる需要開拓の手法を紹介しようと思いますが、そのいずれもが、人々に「欲しい」という気持を起こさせようとするためのものなのです。
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  • a)「その商品を持っている便利さ、愉しさを知らせて、欲しい気持を起こさせる」
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  • b)「その商品を実際にモデルに使わせて、愉しさ、便利さ、効果などの体験談を語らせることにより、未購入者の欲しい気持を起こさせる」
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  • c)「周囲の人々が、すでに使っていることを教えて、あなただけが流行にのり遅れていると感じさせ、欲しい気持を起こさせる」
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  • d)「これからの生活に必要な新機能の機械であることを感じさせ、欲求水準を高めることで、欲しい気持を起こさせる」
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  • e)「自分には買えないと思っていた商品には低価格のものを、要望の高い人にはカスタム・メードを・・・つまり、価格のボリュームを増やす」
  • 「必需品であるというイメージ」は、このような努力によって作られていくわけです。
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