「加納 光」の Blog
「マーケティング」に関するメモ
2016.06.06
適時 適量 適品
By Kanou Hikaru
「マーチャンダイジング」というもの
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「商売を科学的に研究する? どんな研究をするんですか?」と、こういう質問をいただきました。なるほど・・・ そういう話を紹介してこなかったなぁ・・・とドキッとしました。
今回は「商売は科学的に進めていけば成功する」をテーマに紹介していこうと思います。
あなたの ご自宅のご近所に「食品スーパー」があると思います。今回は、どこにでもある「食品スーパー」が、いかに科学的に商売をしているのか・・・ を例にしながら説明をしていきたいと思います。
なぜ「食品スーパー」を題材にするのか? と疑問の声があがるかもしれませんが・・・
実際に、食品スーパーなど流通業の「本社」や「本部」にいらっしゃる方々は、ここで紹介することを日々、当たり前に行っていらっしゃるからです。
当然、食品スーパーだけでなく大型家電販売店や ホームセンターなどの小売業の社員の方々も同じような対応をしていらっしゃるわけです。
ここで「チラシなどの広告による集客」と「店舗内装や商品陳列などの店舗における販促」の2つの戦略があることをご理解いただきたいと思います。
「ご自宅から店の入口まで お客さんを連れてくるのがチラシなどの広告」で「店に入ったお客さんのカゴの中に、たくさん商品を入れる工夫が販促」です。
まず、どんなチラシを作って新聞に折り込めば良いのか? という話になるわけですが、それぞれの商品には「旬」というものがあります。
流通企業の場合、基本的には「1年間を52週」と考えます。たとえば「里芋の旬は、いつなのか?」を調べるわけです。(別に「素麺」でも良かったのですが・・・)
理屈はカンタン・・・ トータル1年間で売れる里芋が、52週のうちの第何週が最も売れるのか? これを毎年計算していく・・・
すると「だいたい10月の第2週くらいから売れ始め、11月の1週目くらいがピークになるんだなぁ・・・」ということがわかるのです。
チラシは「そろそろ旬ですね。少しですが初物の里芋が入荷しましたよ」という紹介の第一段階、「旬ですね。
あちらこちらから多くの種類の里芋が入荷しましたよ」という紹介の第二段、「旬真っ盛りです。里芋を大量入荷したのでお買得ですよ」という紹介の第三弾・・・
こういう風に、ひとつの商品を3回くらいに分けて告知をしていくと、とても効果的に集客につながっていきます。
10月の第一週に「第一弾」の初物告知をして、10月の3週目に「第二段」の豊富な品揃え紹介の告知をして、11月の1週目に「大量入荷したから安いぞ!」と価格の安さ告知を行う・・・
当然、里芋だけというワケにはいきませんから、果物や 鮮魚や 肉といったもの、さらには 惣菜といったものについても、こういう分析をしっかりとしておいて、52週のチラシに、それぞれ「どのような商品を、どう紹介していくか?」・・・ これを計画しておく必要があります。
マーケティング理論という側面から理論を紹介すると、ここで登場するのは2つの理論です。ひとつ目は「週商力」という分析方法「その週の売上比率= その週の売上 / 年間の売上トータル」・・・ こうすれば、どの週が最も売上が上がるのかがハッキリします。
そして、ここで大切になる考え方が「商品ライフサイクル マネジメント」というもの・・・ これは「コトラーのマーケティング理論」の中で、最も有名な「製品ライフサイクル」の考え方です。
「導入期」「成長期」「ピーク」「処分期」に、それぞれの販売戦略があるという内容ですが、大まかには、ここで説明した通りです。
詳しい内容が知りたい人は「商品ライフサイクルマネジメント」「製品ライフサイクル」「コトラー ライフサイクル」といったキーワードでWeb検索してみてください。
流通企業の場合、この考え方を用いて「いくつものアイテム」を52週で展開するわけですが、その数週間のアプローチを順序立てて組み立てながら「導入時期の告知」「成長時期の告知」「ピーク時の告知」を計画的に行っています。
当然、それに伴う仕入れも必要になってきます・・・この広告計画に伴った仕入れ計画を「マーチャンダイジング」といいます。
さて・・・「お客さんをご自宅から、店の入口までつれて来た・・・ 次は、どうやって 多くの商品をお客さんのカゴの中に入れていく仕掛けをしていくか?」が問題になってくるのですが、これを「販売促進」・・・通称「販促」と言います。販促の基本は「陳列」「レイアウト」「ゾーニング」・・・
こういった店舗の「陳列」は「縦陳列」が基本とされています。横幅90センチ〜120センチの棚に「1カテゴリー」の商品をまとめる・・・
たとえば、マヨネーズなら、マヨネーズだけを、この横幅サイズにまとめて陳列するのが基本です。「お客さんが一歩も動かずに購入する商品を選べる」という効率の良さが「購入確率」を上げていきます。
しかし「縦陳列」にしようと思うと、とっても頭を使いますし手間もかかります。こういう「基本原則」を知らない「売り子さん」などは、自分が商品を並べやすいように「横に伸ばすように」並べたがります。
ファッション店舗(洋服や靴など)に行くと、こういう基本を知らない売り子さんが棚に横に伸ばすように陳列している様子を見ることが出来ます。
売り子さんは、並べやすいかもしれませんが、本当にお客さんが買いにくい売場のできあがり・・・ 添付した果物の陳列部分の写真をよぉ〜く見てください。
2列、3列、1列・・・ そういう具合に上手に「縦ライン」で並べてあります。基本がわかっていると「お客さんが買いやすい売場」ができあがるわけです。
陳列の次に考えるべきは「レイアウト」です。「隣に兄弟のカテゴリーが来ている」というのが「レイアウトの基本」です。
また「向かい側は 従兄弟のカテゴリーが来る」というのも基本・・・ 昆布の隣に「ゴマ」の売場がある・・・ こういうレイアウトを「グラデーション レイアウト」と言います。
「グラデーションレイアウト」は「十二単(じゅうにひとえ)」とも表現されます。
こういった「隣に兄弟のカテゴリーが存在する売場」は「どこに何があるのか? 説明を聞く必要がない・・・ 案内の必要がない気持ちの良い売場」とお客さんから評価を受けることとなります。
食品スーパーに行って「この店は、どこに何があるのか、さっぱりわからない・・・」と感じる店舗は、この「隣に兄弟カテゴリーが来る」「向かい側に従兄弟のカテゴリーが来る」という「レイアウト」が全くできていない・・・ということなのです。
こういう状態になると「面倒だから、この店ではもう買い物をしない・・・」という話になります。高いお金をかけて、チラシで集客をしたものの「イライラする店だから、もう良い・・・」と買い物を諦められてしまっては、何をやっているのか、さっぱりわからないわけです。
最後が「ゾーニング」です。ゾーニングというのは「この一角は青果」「この一角は鮮魚」「この一角は精肉」「この一角はラーメン」・・・ というように、レイアウトを もっと大雑把にしたものです。
この「ゾーニング」を行う時に大切なポイントが「導線計画」・・・
動線計画を説明するにあたり、予備知識が必要になってきそうです。話は 少し横道にそれますが「左門前」という言葉があります。
「門前」とは「神社」や「有名なお寺」の「山門の前」の「その観光地の観光名物通り」のこと・・・ そういう観光名物の街を「門前町」と言います。
浅草の「浅草寺」の前の「門前町」や、長野の「善光寺」の前の「門前町」・・・ 伊勢神宮の前の「門前町」などが有名です。
当然、それぞれの門前町には、それぞれの「観光名物」があったりします。面白いのは、日本人が古来から「道の左側」を歩いていた・・・ということ。
観光地に行くほど、また、古い場所ほど「左側通行」になっています。これは「街並みを描いた浮世絵」などで確認することができます。
結局、日本人は「左側にあるお店のモノを買ってしまう」「左側にある商品を買ってしまう」という無意識の感覚がはたらいているわけです。
伊豆に網代という街があります。干物が名物で、通りの両側にズラリと干物屋さんが並んでいたりするのですが、面白いのは「午前中は、伊豆に向かって左側の店」のみが開店していて、午後になると「右側(東京に向かって左側)」だけが開店している・・・
もっと面白いのは、午前中に伊豆に向かって左側で店をやっていた「おばちゃん」が、昼になると「左側の店」を閉めて、向かいの「右側(東京に向かって左側)の店」に 向かいの自分の店から ゴッソリと商品を 東京に向かって左側の店に移動して 午前中に 何事もなかったように 向かいの店とは別の店ですよ・・・ みたいな顔をして 平然と営業していることです。
普段、何気なく買い物をしている「食品スーパ−」でも、これくらいの「科学的な仕掛け」はしている・・・ ということをご理解いただけると嬉しいなぁ・・・と思うわけです。
今回は、マーケティングの初歩の初歩をご案内した形となりました。ご存知の方には 当たり前すぎる話だったかもしれませんね。
そして、こういう勉強をしていない人ほど「POPをつければ何とかなる」・・・などと思い込んでいたりします。POPをつけても、イライラする店では やっぱり買いたくない・・・
また「広告を打てば売上は上がる」・・・などと思い込んでいたりしますが、広告を打つのは大変 経費がかかります。その経費から給料が払われているわけで・・・
マーチャンダイジングと販促計画がしっかりしていなければ、結局、自分の給料を減らすような話になってしまうわけです・・・
さらに「価格を落とせば売れる」・・・などと安易なことを言い出す人がいるようですが、利益が上がらなければ社員の給料さえ払うことはできません。
これまた、マーチャンダイジングと販促計画がしっかりしていなければ、自分の給料を減らすような話になってしまうわけです・・・
食品スーパーも 利益が上がって、社員に給料を払ってなんぼ・・・ 企業経営ですから、それが普通の姿です。
ですから、しっかりと社員に給料が払える仕組みが必要になりますし、社員もまた、これくらいの勉強を 最低限しておく必要があるわけで・・・ 何事も基本が大切になってくる・・・という話です。
ホンキで売上を上げたいのであれば、ここに紹介したノウハウの詳細をゆっくりと読んでいただければ・・・ そのように思います。ホンキで解説していますから、とっても長文ですよ・・・
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