「加納 光」の Blog

「ふと感じたこと」




2016.03.26

話し合い

By Kanou Hikaru


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大和人のDNA


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国文学の先生から聞かせていただいた「お話のメモ」が、何かの拍子で手元に出てきた。面白いものだ。こういう「昔のメモ」が手元にやってくる度に「何かの運命のようなもの」を感じてしまう。日本人・・・いや「大和人(やまとびと)」のDNAというのは、そのようなものなのだろう。

日本語は、そもそもが「当て字言語」だったとおっしゃる、某大学の教授先生・・・ 江戸時代にあったとされる「当て字言葉」を紹介していただて、それをメモに書込んでいたのだ。なるほど・・・と思ったのが「家美さん」・・・これで「かみさん」と発音する。つまりは「奥さん」のことだ。

家をいつも美しく保っている人・・・ 家の中でいつも美しくある人・・・ だから、この字を当てたのだという。なるほど・・・ 確かに「家をきれいにする」のも納得だし、いつも「家の中で美しく振る舞う人」であるべき・・・というのも納得する。これは江戸時代の言葉・・・ そんな風に思ってしまって良いのかと少々疑問も残る。

おかげさまで、うちの奥さんは「掃除と洗濯が大好き」な女性だ。天気の良い日に洗濯物が風で揺れている様子を見ながらお茶をすすって「幸せぇ・・・」と言うような女性でもある。おかげさまで、近所の方々から「きれいな奥さん」と呼ばれているような女性だ。ノロケ話はこれくらいにして・・・

もうひとつ、なるほど・・・と思ったのが「覇無し合い」という当て字だ。これで「はなしあい」と読むそうだ。これは「権力や暴力、論破する勢いに任せた気持ち(我欲)が無い状態で、お互いがそこに居る」という意味。「覇無し合い」とは「言いたいことを言い合う」のではない。

「お互いに相手の言葉に耳を傾け、相手の心にそっと寄りそう」というのが「覇無し合い」であり「話し合い」の本質だ・・・ということを表現しているのだそうだ。話し合い・・・「対話」とは「単なる言葉のやりとり」ではなく「相手の心を尊重し合う」ということ・・・

江戸時代の人ってのは凄いものだと改めて感動し直したりした。今の世の中は「便利」にあふれ返っている。何もかも「便利」・・・人の心もそっちのけ・・・ そうこうしているうちに「思いやる心」さえも、ファーストフードの包み紙と一緒にゴミ箱にでも捨ててしまったようなありようだ。

「和して同ぜず」という言葉がある。「お互いの足りない部分を支え合うこと」が「和」・・・それこそが「日本人」の、いや「大和人(やまとびと)」のありようだったように思う。ところが、今は「標準化」であったり「人並み」といった言葉が横行している。「同じて和せず」・・・これでは「大和人の教え」とは真逆の感覚だ。

「よし、話し合いをしよう」と意気込んだ時、そうなった時は「覇(我欲)の心」が膨らみきって、相手を頭ごなしに否定しよう・・・とすること。こちらの「言いたいこと」をぶつけ、あちらも「言いたいこと」をぶつける。これでは「覇無し合い」ではなく「覇(我欲)」のぶつけ合いにしかならない。

最近では「西洋かぶれ」した大人たちが、子どもにむかって「自己主張しなさい」などと指導していたりする。確かに、本当の意味での「自己主張」ならしたほうが良いだろうと思う。本当の意味での自己主張とは「周りの空気」を読んで「その お饅頭・・・食べても良い?」と聞く程度の話だからだ。

ここで大切なことは、先に「周りの空気」をしっかりと読むということ。そのうえで「その お饅頭・・・食べても良い?」という自己主張をするなら良いのだが、相手のことを認めず、自分の考えを押し付け、相手を論破するためのプレゼンテーションとやらは「大和人(やまとびと)」の自己主張とはベツモノでしかない。

相手の望む結論にたどりつくために、お互いの気持ちをわかり合い、お互いの存在を認め合うためにすることが「話し合い」・・・ であれば「覇無し合い」の気持ちで相手と向き合わない限り、望む結論に至る前に「喧嘩分かれ」となってしまいそうだ。さて、もうひと息、ガンバってみようか・・・


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