「加納 光」の Blog
「徒然に思うこと」
2016.06.24
社会科学-7
By Kanou Hikaru
西洋の成功理論が日本で通用しにくい理由-7
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前回の締めくくりは・・・
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日本では、まとまった「個人が成功するための哲学」というものが育たなかったのです。
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では、まったく存在しなかったか?というと、そうではないのです。それは「石門進学」というものに代表する「商売の教え」でした。
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これを理論体系づけた「石田梅岩」という学者が活躍したのは、今から300年ほど昔の話です。「商人道」として、その教えは京都から広がりました。
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後に、多くの「大店の店主」が「門外不出の家訓」として、その教えを外に漏らさずに守ってきたという歴史をあったのです。
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「損して得取れ」「負けるが勝ち」「三方良し」といった「ことわざ」となりました。集団主義の中で生きる「商人達の成功論」は、西洋諸国よりはるか昔から日本に存在していたのです。
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日本文化の中に「あからさまな成功論」が育たなかったのは、日本が「村社会」「集団主義の社会」を2500年も昔から作ってきた自然環境が影響しているのです。
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そして、このことは今日においても厳然とした事実となっています。このことに気付かずに若いころの私のように「西洋かぶれ」してしまうと日本の組織での評価は、まず無いと考えたほうが良いだろうと思います。
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つまり「組織より、自分個人が生きるための権利の主張」などをしてしまうと「そこをガマンして集団を優先する組織」から「村八分」にされてしまうのです。
とはいえ、私たちは誰もが「成功したい」という夢や野心を持っているものです。それはそれで良いことだろうと思います。
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しかし、日本の社会で生活をしている限り「日本人の成功哲学」というものを守らなければならないのも、当たり前といえば当たり前なのです。
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日本には、西洋のような「あからさまな成功論」は存在しませんが、日本特有の成功論というものがあります。
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元をたどれば「朱子学」や「儒教」というものにつながるようですが、これが「ことわざ」となり一般に広まっていったのです。
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この「日本特有の成功論」=「ことわざ」というものを大別すると、3つのパターンに分けられるのです。
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第1は「学ぶ姿勢」とでもいえば良いのでしょうか「考える態度」というものを説いたものが、それにあたると考えられます。
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それは、白紙になって「見るもの全てから学ぼうとする姿勢」のことをいうようです。
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・人は皆、師なり
・欠点を見るな、長所を見よ
・偉い人は耳が大きい
・愚者も千慮に一得
・白紙になれ
・百聞は一見に如かず
・案ずるより生むが易し
・三人よれば文殊の知恵
・負うた子に教えられて浅瀬を渡る
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ここに例としていくつかあげた「ことば」は、日本人が「現実を見て学ぶ」「実態を聞いて学ぶ」ということを、大変重要視していることを示しているものばかりです。
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現在でも、「現場主義」「現実主義」「現物主義」という言葉を会社の方針としている企業は数多くあります。
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これは、石田梅岩の説いた「石門心学」の教えの中にも示されているというものが、大店の門外不出の家訓となり、それが細分化し、今に受け継がれているものと考えてもおかしくありません。
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日本人は「自然から学ぶ」「現実から学ぶ」「経験によって錬られた技術を持った師から学ぶ」という「理論軽視」「実践重視」「現実重視」の考え方を大切にしてきた価値観の現れだといえるのでしょう。
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これらの言葉は、一般的にも頻繁に使われている言葉ばかりです。ここに「理論よりも人を重要視する」「理論よりも現実を重視する」という日本独自の「統計的成功論」が成り立っているのです。
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たった100年ちょっとで大国を作り上げてしまった西洋の理論的な成功論は、体系化されていて「わかりやすい」面があります。
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しかし、日本の実践的な成功論は、2500年もの間に数多くの人たちの「実践統計」によって生まれてきている「失敗を避ける職人的実践論」だけに、西洋の理論よりも確実性が高いのです。
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問題があるとすれば、私たちが、これらの言葉を知り過ぎていて、かえって軽視してしまう傾向が強いことかもしれません。
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これらの言葉を「日本の成功哲学」として、あらためて見直すことが、大切だと思います。というのも、やっぱり日本人は、こういったことがDNAに組み込まれているから、そうやるとスルスルと うまくいってしまうからです。
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では、どうすれば日本で成功できるのか・・・という話になるのでしょうが・・・ そのあたりの話を次回、もう少し 詳しく説明してみたい・・・ そのように思っています。
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